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現地で聞いたブーイング…柔道・村尾三四郎の誤審疑惑「僕のポイントなかったですか?」永山竜樹の不可解判定との“決定的な差”「審判団は確認していた」
posted2024/08/01 17:53
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph by
KYODO
畳の上には歓声とブーイングが交錯していた。
パリオリンピック柔道男子90kg級決勝、日本の村尾三四郎と五輪連覇を狙うジョージアのラシャ・ベカウリの一戦は、残り4秒で映像判定によって決着がついた。金メダルを手にしたのは、村尾ではなくベカウリだった。
特に最後の1分間には、即座に判断するのが難しい状況が立て続けに起こった。ブーイングはその微妙な判定に対する観客の不満の表れ。戸惑いを残しつつ畳を下りた村尾も、真っ先に小野卓志コーチにこう尋ねた。
「僕のポイントはなかったですか? 最後のベカウリの技はポイントありましたか?」
鈴木監督「我々がぐちぐち言うほどではない」
男子60kg級の永山竜樹とスペインのフランシスコ・ガリゴスとの試合での誤審騒動をきっかけに審判の判定に関する話題が柔道のみならず他競技でも取り沙汰されている。SNS上では“誤審ピック”という言葉も出てきているという。
そんな中、またしても審判の判定がクローズアップされる展開になった。ただし、事実を追っていけば、勝敗は審判ではなく、両者の力関係によって定まっていったことが分かる。
だからだろう。永山に対する危険な絞め技に対しては色をなして批判した鈴木桂治監督が、この日は「ポイントがあったでしょう! と我々がぐちぐち言うほどではない」と語った。
村尾が言う「僕のポイント」は、残り31秒の場面だった。互いに技ありのポイントを持った状況で、村尾の内股にベカウリの身体が一瞬浮く。ベカウリは畳に尻もちをつき、右手で体を支えてなんとか耐えた。もしこれが技ありとなっていれば、合わせ技による一本で村尾の金メダルだった。
「片手だけだった」「審判団が確認している」
鈴木監督は冷静に言った。