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大谷翔平が発言「彼にはかなわない、負けたと思いました」青森にいた“怪物中学生”…なぜプロ野球を諦めたのか? 本人語る「大谷と初めて話した日」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byGetty Images
posted2024/06/29 11:00
大谷翔平に「かなわない」と言わしめた大坂智哉の今
「バケモンでしたね、大坂は。東北大会につながる試合は4回ぐらいやって、全部負けました。大坂に抑えられて、大坂に打たれて負けるんです。真っ直ぐは張っていても打てない。そこに変化球を混ぜられたら、百パーセント空振りです。スコアは、ほぼ1-0だったと思います。だいたい大坂のホームラン1本で負けるんで。2ストライクに追い込んで、外に外そうと思ったら逆方向にバコーンって打たれたこともありました」
大坂が初めて大谷を見た日
大坂は東北大会に出場するまで大谷の存在を知らなかったという。試合後、インタビューのために私の目の前に現れた大坂は打席の中の堂々としたイメージとは打って変わって控えめで、体も打席の中よりも小さく感じられた。
「リトルの頃、自分の中では東北大会までいったらすごいことだと思っていて。なので、青森県内のすごいなと思える選手のことは知っていたんですけど、県外の選手のことまではわからなかったんです」
少年と言っていい年代の大坂は、まだ本州最北端の小さな世界で生きていた。
大坂と大谷が初対戦した6月3日は、準決勝2試合と決勝が予定されていた。リトルリーグの大会ではダブルヘッダーはざらにある。
準決勝の第1試合は岩手県の水沢パイレーツと福島リトルがぶつかった。その試合で、大坂はとんでもない記録を目撃することになる。
〈つづく〉