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あの“鬼コーチ”エディー・ジョーンズが…優しくなった!? 9年ぶり日本代表HC復帰で「怖かった。ダメばかり言われた」頃から何が変わった?
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byJIJI PRESS
posted2024/06/15 17:00
6月22日に初陣となるイングランド戦を控えた第2期エディージャパン。かつてとの違いは選手だけでなく指揮官にも…?
そう言って、原田が「話の上手さ」の例としてあげてくれたのが、宮崎合宿で最初のミーティングの一場面だった。
「井上尚弥さんが表紙になっている『Number』を見せて『2027年にはこの表紙を飾るのがこのメンバーだ。このイングランド戦はそのためのターニングポイントになるんだ。ワールドカップでは2019年に4勝して2023年には2勝に下がった。このまま下がっていくのか、それとも上がっていくのか、それはお前たち次第なんだ』と。ワクワクしました」
前回、HCに就任した2012-2015年は、リーチが「地獄だった」と喩えたスパルタ式のハードなトレーニングが続いた。朝6時からの早朝トレーニングを皮切りに3部練習、4部練習。エディーHCは選手を体力的にもメンタル的にも追い込み、タフになれと求め続けた。だが今は違う。若手時代にエディージャパンを経験した坂手淳史は苦笑する。
「優しいですよ。僕は大学生だった2013年から2015年の間に何度か合宿に参加したけど、エディーさんは怖かった。ダメダメばかり言われてました」
かつては「グラウンドから出て行け!」と一喝も…
記者も以前は選手を叱責するエディーの姿を何度か目撃した。2015年のワールドカップに向けた宮崎合宿の最中には、福岡堅樹や内田啓介が「グラウンドから出て行け!」「帰れ!」と一喝される現場にも居合わせた。選手を追い込むことで覚醒を促す手法は、強引だが確かな効力を持っていた。それは2015年ワールドカップ初戦の南アフリカ撃破へとつながり、そこから日本代表は2019年の8強進出へと躍進を続けた。だが今は違う。
「12年前よりも選手の学ぶ力が上がっている。リーグワンでワールドクラスのコーチングを受けているからだろう」とエディーは話す。選手の理解力が高まり、怒鳴る必要がなくなった分、選手にはより高いレベルを要求する――日本ラグビーが次の段階に進んだのだ。