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あの“鬼コーチ”エディー・ジョーンズが…優しくなった!? 9年ぶり日本代表HC復帰で「怖かった。ダメばかり言われた」頃から何が変わった?
text by
大友信彦Nobuhiko Otomo
photograph byJIJI PRESS
posted2024/06/15 17:00
6月22日に初陣となるイングランド戦を控えた第2期エディージャパン。かつてとの違いは選手だけでなく指揮官にも…?
田中史朗は「最高の機会」と唸り、リーチマイケルは「僕もU20のとき(日本代表HCだった)ジョン・カーワンに見て欲しかった」といまの若手をうらやんだ。
「佐藤を見ていると若いときの堀江翔太を思い出す。矢崎はFBとWTBの両方で才能がある。小野澤の父(※日本代表のWTB/FBとして活躍した宏時さん)は私がコーチできた中でも名誉を感じるような偉大な選手で、その子を指導していると思うと特別な感情が湧いてくる。息子も足捌きなどに父譲りの良さがある。ただ、私の仕事は選手たちが最大のチャンスを得ること。彼らの成長を加速させたい」(エディーHC)
2027年に間に合う可能性があるなら、それは追い求めるのだ。
かつてのルーキーがベテランに
HC就任最初の試合となるイングランド戦は合宿入りから2週間後の6月22日。試合に向けた準備には一刻の猶予もないが、次世代の育成にも手は抜かない。遡れば12年前のHC就任1年目にも、高校3年生だった山沢拓也を合宿に招集し、いきなりトンガ代表との強化試合に出場させた。その山沢は12年の時を経て、BK最年長選手として2度目のエディージャパンに加わっている。
「エディーさんはあの頃と変わっていないと思う。1人1人をよく見ていて、何気なく声をかけてくれる。この合宿では『もう少し身体を強くしよう』と言われました。超速ラグビーについては、自分にできるかどうかとかは考えず、上手くなること、考えるよりも速く、求められるプレーを身体が選択しているくらい、プレーに入り込めるようになりたい」
眼前に巨大な敵を迎えながら、新たな才能、異質な才能も取り込む。常に複数のミッションに目を配り、どれにも驚異的なまでの精力を注ぐ。そんな一貫した、12年前と変わらぬエディーのスタンスに比べたら「怖くなくなった、優しくなった」は変化と言えるほどのことでもないのかもしれない――宮崎合宿の公開3日間を見終えて、そんな思いが頭を過ぎった。