“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「(上田)綺世に限らず、FW全員がライバル」2年前に小川航基が抱いた使命感…「W杯ベスト8の壁を破るためには自分のようなFWが必要」
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byJMPA
posted2024/06/10 11:05
カタールW杯を見て刺激をもらったと語った小川航基(26歳)。日本サッカーを背負う責任と覚悟がある
――そこからJ1を半年経験して、念願の海外移籍。4年3カ月ぶりの日本代表復帰となった今年3月の北朝鮮戦の試合後、『リュックサックを1個背負って飛び込む覚悟で』と表現していたことが印象に残っています。
「複数クラブからオファーがあった中で、一番厳しい環境を選びました。移籍を決めた時は佐野航大がチームメイトになるなんて思ってもいませんでしたから、誰も自分を知らない環境で海外生活をスタートさせたいと思っていました。裸一貫では無いですが、自分のこれまでやってきたことと自信以外は何も持たないで行くという意味で、そう表現しました」
――打算的にならずに身ひとつで飛び出していく。
「そうです。日本を出発してオランダの地に着く時に飛行機の中で、窓際の席だったのですが、『俺は絶対にここで成功する。しっかりと結果を残してA代表に入って帰るんだ』と着陸態勢に入ったオランダの町や滑走路を見て思いました」
リーグ戦11得点「まだまだ足りない」
原点に立ち返った小川は、オランダの地で躍動した。
当初は日本のサッカーとの違いに戸惑ったが、磨き上げたゴールへのアプローチやポストプレー、前線からの守備と、能力をフルに発揮してスタメンに定着。その活躍が日本代表復帰につながっているが、自身で成長を実感する部分はあるのだろうか。
――オランダのサッカーは小川選手にとって水があったのでしょうか。
「オランダでは、大きくて強いFWを置いて、そこにラフなボールを蹴り込んで収め、そこからサイドに展開をするスタイルが多かった。最初は『こんなシュートみたいなボールが飛んでくるのかよ』と手こずりましたが、すぐに受け入れて取り組むことが出来ました。クロスがどんどん飛んでくるのでゴール前で勝負する機会も多く持てたと思います。
ただ、1年間通して、自分の実力からすればもうちょっと点を取らないといけない。2桁得点は“最低ライン”。15点くらいで“まあまあ”。20点で“上出来”。まだまだ足りないと感じています」
※リーグ戦11ゴール、その他公式戦4ゴール
――来季はもっとゴールを期待しています。もちろん、A代表での得点も。
「もう、日本代表に入ってすごいねということはないし、この場所で1つ、2つ頭抜ける存在になって中心にならなきゃいけないと思っています」