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「世間ではもう“終わった選手”だと…」サッカー日本代表・小川航基26歳が“消えた天才”にならなかった理由「でも腐ったことは一度もない」
posted2024/06/10 11:03
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
JFA/AFLO
ワールドカップアジア2次予選・ミャンマー戦で2ゴールを決めた小川航基(26歳)。オランダ1部のNECナイメヘンで充実のシーズンを過ごした好調そのまま、スタメン起用の期待に応えた。“超高校級”と謳われながら、大怪我も重なり、もがき苦しんだ時間の方が長かったプロ生活。批判や悪い噂にも惑わされず、自分を貫けた要因は何か。覚醒の時を迎える大器が赤裸々に明かす〈NumberWebインタビュー全3回の1回目/第2回、第3回も公開中〉。
今年3月、国立競技場のミックスゾーン。記者の取材対応を終えた小川航基は、こんな言葉を残してスタジアムを後にした。
「日本代表は僕がずっと目指していた場所というか、自分がここに来ることができる存在だとずっと思い描いてきた。今、26歳。僕の中で初代表のようなものなので、相当遠回りをしてしまったという気持ちはあります」
この日、国立競技場ではワールドカップアジア2次予選・北朝鮮戦が行われていた。小川は1-0で迎えた81分に投入され、実に4年3カ月ぶりとなるA代表のピッチに帰ってきた。帰ってきたと言っても、前回は国内組を中心としたメンバーで臨んだ2019年12月のE-1選手権。実質、この試合がA代表デビュー戦とも言えた。
「(メンバーに)選ばれて率直に嬉しかったのですが、少し見方を変えてみると『俺は何をやっていたんだろう』という感覚です」
選手たるもの、ネガティブな思いはなかなか言葉にしづらい。だが、小川はごく自然と自身の思いを言葉にする。
「20歳からJ1で点を獲り始め、22歳くらいにポンと海外に出て、A代表にすぐ入るというイメージでいました。それがここまでになってしまったというのは、間違いなく自分の責任。多分、世間の人たちも『終わった選手』と一度は思っていたと思いますよ」
終わった選手――そう印象付けられても仕方ないほど、大きな期待を背負った選手だった。