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「リーチさんの喜んでる顔を見たい」リーチマイケル35歳が後輩たちに慕われまくる理由…キャプテン拒否から一転「ビールをたくさん飲ませ…」 

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大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

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photograph byJIJI PRESS

posted2024/05/29 17:05

「リーチさんの喜んでる顔を見たい」リーチマイケル35歳が後輩たちに慕われまくる理由…キャプテン拒否から一転「ビールをたくさん飲ませ…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

チームの低迷期を支えてきたリーチマイケル(35歳)。人生初めての胴上げを経験した

 ひとつはブラックアダーHCからの絶対的な信頼だ。

 優勝決定後の会見でトッドは「勝因は、リーチを主将にしたことです」と笑った。HC就任5年目。それ以前にもリーチに主将就任を要請したが、リーチは「自分のプレーに集中したい」と断り続けてきた。だがトッドは今季を迎える前に、これまで以上に強く主将受諾を迫った。

「ビールをたくさん飲ませて、最後は『やります』と言わせたよ(笑)」

 そこまでして主将を引き受けさせたのはなぜか。

「リーチはこの組織の全員に信頼されている。自分の背中で引っ張ることができる。常に最前線で身体を張っている。東芝というチームに対する強い思い、勝ちたいという強い思いを持っている。そして、周りの選手と良い関係性を持っている」

 そして、トッドの期待通り、主将に就任したリーチは、就任を渋っていたのが嘘のようにアグレッシブに行動した。

 チームに足りないと思ったことは遠慮せずに指摘した一方で、若い選手には常にポジティブな言葉をかけ続けた。練習量が多くて選手が疲弊していると感じれば、練習量のボリュームダウンをコーチ陣に進言した。選手にもコーチングスタッフにも遠慮せずに接した。それは今季を戦うブレイブルーパスのスタンダードになっていった。

「リーチさんを日本一にしたい」

 そんな姿勢が、もうひとつの要因、後輩たちのサポートを呼んだ。CTB眞野泰地とFL佐々木剛は決勝を控えた府中市の練習後に「リーチさんを日本一にしたいんです」と明かした。

 ともに2020年加入。眞野は東海大で、佐々木は大東大で、それぞれ主将を務めた。ラグビーにおける主将の重責、難しさを知っているからこそ、リーチの覚悟の強さには深く敬意を抱くのだ。

「ミーティングでリーチさんのプレゼンを聞いていると、この人に日本一になってほしい、喜んでる顔を見たい、と思うんです」(眞野)

 そしてタックル。主将のリーチを補佐する副将、25歳のフッカー原田衛は決勝のあと、顔を上気させて話した。

【次ページ】 「またマイケルや」勝敗を分けたトライ阻止

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