巨人軍と落合博満の3年間BACK NUMBER
巨人・落合博満が絶賛「オレが出会った最高の外国人選手」…42歳落合“まさかの小指骨折”、医者NGのピンチを救った「超一流の打撃投手」の名前
posted2024/05/26 11:00
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph by
Sankei Shimbun
あれから30年。巨人にとって落合博満がいた3年間とは何だったのか? 本連載でライター中溝康隆氏が明らかにする。連載第20回(前編・後編)、巨人での最後の日々。“メークドラマ”の一方で、42歳落合博満は小指骨折の重傷を負った。その大ピンチを救った打撃投手とは?【連載第20回の前編/後編も公開中】
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落合博満42歳「まさかの左手小指骨折」
「八月に左手首にデッドボールをもらったのは今でも悔いが残っている。あの年は絶対に打点王を獲れると思っていたから。ワンアウト三塁で松井が三振してね。あの打席だけは『松井で一点取れなかったら、俺、絶対やられるな』って予感があった。バッターボックスに入って、通常の位置からスパイク一個分くらい後ろに下がったのに、それでもぶつけられた。俺のヨミに甘さがあった」(VHS「長嶋茂雄 第三巻 背番号33の時代」/メディアファクトリー)
1996年、42歳の落合博満は、前半戦を打率.305、18本塁打、66打点という好成績で折り返す。オールスター戦にはロッテ時代の84年以来、12年ぶり3度目のファン投票で選出。全セの4番に座ると、第1戦でタイムリー二塁打を放ち、優秀選手に選ばれた。
後半戦も「3番松井、4番落合」が牽引する巨人は、7月の13勝5敗に続き、8月を19勝7敗と大きく勝ち越し。ついに7月6日時点の最大11.5ゲーム差をひっくり返し、首位に立った。“メークドラマ”が現実味を帯びる中、落合は8月31日の古巣・中日戦で野口茂樹から死球を受け、左手小指中手骨の亀裂骨折の重傷を負ってしまう。頼れる主砲の長期離脱に普段は前向きなコメントが多い長嶋茂雄監督も、「落合の穴は投手力でカバーするしかない。4点打線が1点から1.5点はマイナスになりますから」と広島や中日との三つ巴の優勝争いに向けて悲壮な決意を語った。
落合が絶賛「最高の外国人選手」
ペナントレースは残り20試合。本塁打王を争う絶好調の松井は3番から動かさず、代役4番は来日2年目のシェーン・マックを抜擢する。