濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「一番激しい団体に…」旗揚げ戦でジュリア&林下詩美のエース組が敗北…新団体・マリーゴールドの圧倒的な新鮮さとは? スパイスは「昭和テイスト」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byEssei Hara
posted2024/05/23 17:00
5月20日、マリーゴールド旗揚げ戦エンディングでの選手たち
小川氏のコメントで印象的だったのは「全体的に激しい試合が続いて、それが“マリーゴールドの試合”になるのかはまだ分からないですけど」というものだ。激しい試合の連続で素晴らしかった、というだけの口調ではなかった。
「一番激しい団体になってしまうんじゃないかと(苦笑)。ちょっとそこが。激しさが(特長と)定義づけられちゃうのもどうかなというところが。激しいのもいいんですけど、今日はそこに特化しちゃったかなという。それだけ力が入ってましたよね」
ロッシー小川と「最後のチャレンジ」
選手たちは、本来もっと幅広い色が出せると考えているのだ。プロレス興行には笑いの要素もあっていい。テクニックで相手を翻弄する選手もいれば、ため息が出るほど可愛いアイドルレスラーも。
思い返すと、大会の中盤戦では観客の反応がやや鈍くなっていた。第1試合から“激しい試合”の連続で、見る側に疲れが出たのが一因かもしれない。大爆発したマリーゴールドの旗揚げ戦にも足りないものがあったのだ。熱狂渦巻く空間の中で、小川氏はそれに気づいていた。やはりおそるべし、である。
67歳、マリーゴールドがプロレス業界生活で「最後のチャレンジ」になると公言している。敵も作りながら、常に新しい道を選んできた。これからは後継者の育成などキャリアの“たたみ方”もテーマになってくるだろう。
ただ、いま現在のエネルギッシュな姿を見ていると、当分は女子プロレス界の話題の中心であり続けそうだ。旗揚げ戦の翌日には、ジュリアの負傷としばらくの欠場という残念なニュースがあった。そこで落ち込んでいられないのがプロデューサーだ。小川氏は、このピンチをどうプラスに転じさせようかと腕を撫しているに違いない。