濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「一番激しい団体に…」旗揚げ戦でジュリア&林下詩美のエース組が敗北…新団体・マリーゴールドの圧倒的な新鮮さとは? スパイスは「昭和テイスト」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byEssei Hara
posted2024/05/23 17:00
5月20日、マリーゴールド旗揚げ戦エンディングでの選手たち
メインイベントでは団体エースがまさかの敗戦
旗揚げ戦では初来日のボジラがSareeeと組んでメインイベントに登場。ジュリア&林下詩美の所属2トップと対戦した。戦前、注目されたのはスターダム時代に絡むことが少なかったジュリアと林下の2度目のタッグ結成。ジュリアとフリーの大物・Sareeeはファン待望の対決だ。
そして、それらの要素を凌駕するほどに観客の目を奪ったのがボジラだった。181cm、91kgの巨体とパワーで相手を投げまくり、さらにはムーンサルトプレスでSareeeのフィニッシュをアシスト。試合後には大ボジラコールを浴びた。まだ粗削りではあるが20歳という若さも可能性だ。
旗揚げ戦のメインでSareeeに敗れたジュリアは「感極まっていたけど悔しさで吹っ飛んだ」とコメント。特大インパクトを残したボジラについては、小川氏が「予想通り」と語っている。メイン起用は狙って放ったホームランだったわけだ。旗揚げ戦でエースが敗れるという結果は“昭和”的には1972年の新日本プロレスを思わせた(アントニオ猪木がカール・ゴッチに敗戦)。
負けることからドラマが広がることもあるのがプロレスなのだ。ジュリアは、久しぶりに闘った充実感からSareeeに定期参戦を求めた。大会エンディングでは7月13日の両国国技館大会が発表。ジュリアとSareeeのシングル対決が早くも決定している。
「ちょっとそこが…」大会後に小川氏が苦笑した理由
旗揚げ戦の盛り上がりは年間ベスト興行級。両国国技館でのビッグマッチに向けてこれ以上ない勢いがついたとも言える。
「今日のお客さんが1500人。両国ではその倍、3000人集まれば。だから両国もできないことではないですね」
それが小川氏の、両国大会の“勝算”だ。スターダムでもそうだったが、コロナ禍を経た現在、ビッグマッチの集客は3000人が基準もしくは“壁”になる。
ただ“3000人の壁”を突破すること自体が目標なのではないという。
「ビッグマッチをやればいいということではなくて、一つ一つの会場を充実させることが大事なので」
それはスターダム時代に得た感覚かつ、興行主としての原点でもあるのだろう。マリーゴールドでは、スターダムが長らく開催していない新木場1stRING大会もスケジュールに入っている。都内で300人ほどのキャパだから、今のスターダムにはいかにも小さい。
いやマリーゴールドにも小さいはずなのだが、旗揚げ前の感触としては現実的だったのかもしれない。いずれにせよ“ロッシー小川全面プロデュース”からは足元を固める感覚も伝わってくる。主要大会の中継はノア、DDTを擁する配信サービスWRESTLE UNIVERSEで。何もかも自前でスタートするのではなく、既存のプラットフォームを活用した形だ。結果、旗揚げ戦の中継はWRESTLE UNIVERSEの歴代視聴ユーザー数2位、後楽園大会の中継の視聴ユーザー数1位を記録した。大成功というほかない。