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「一番激しい団体に…」旗揚げ戦でジュリア&林下詩美のエース組が敗北…新団体・マリーゴールドの圧倒的な新鮮さとは? スパイスは「昭和テイスト」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byEssei Hara

posted2024/05/23 17:00

「一番激しい団体に…」旗揚げ戦でジュリア&林下詩美のエース組が敗北…新団体・マリーゴールドの圧倒的な新鮮さとは? スパイスは「昭和テイスト」<Number Web> photograph by Essei Hara

5月20日、マリーゴールド旗揚げ戦エンディングでの選手たち

 最高の雰囲気で大会が進む。盛り上がりの要因の一つは、マッチメイクの新鮮さだ。初顔合わせ、あるいは久々の再会。アクトレスガールズは2022年からプロレス団体としての活動をやめ、プロレスをモチーフにしたエンターテインメント・パフォーマンスのイベントを開催していた。

 そこから離れてマリーゴールドに合流した選手たちは、プロレスファンにとって存在そのものがフレッシュだった。たとえば青野未来は、この2年あまりでトップ選手としての風格を身にまとって“プロレス”に戻ってきた。

 セミファイナルで勝利した天麗皇希と後藤智香の「ツインタワー」タッグも元アクトレスガールズ。これまではプロレスを“演じる”ためにリングに上がってきたが、今回は正式なプロレスデビュー戦となる。後楽園の観客の多くは、彼女たちを初めて見て、そして惚れ込んだのではないか。

バックステージで悔しさを露わにする選手も

 バックステージで悔しさを露わにする選手もいた。勝ち負けだけでなく試合内容に納得がいかないと。後輩の皇希に3カウントを奪われた松井珠紗は「今日は会場に圧倒されたかもしれません」と語った。松井と組んだ翔月なつみは「超満員の後楽園の空気だったり(元アクトレスガールズの)自分たちが受け入れてもらえるか、通用するのかという緊張がありました」。

 多くの選手が、前の団体をやめてから試合間隔があいていた。さらに初めて、あるいは久しぶりに闘う相手。プロレスには何度も闘うことで攻防が練り込まれていく部分もあるのだが、今回はそれがなかったわけだ。

 札止めの観衆はパワーにもプレッシャーにもなる。それにもちろん、旗揚げ戦=人生の新たな節目を迎えた緊張も。正直に言えば、技が完璧に決まらなかった場面、ミスをした場面はいくつもあった。新鮮な試合だから盛り上がり、それゆえに選手にとっては難しい。そういうシチュエーションだったのだ。

旗揚げ戦で感じた「圧倒的な新鮮さ」

「マリーゴールドはどんな団体なのか。他と何が違うのか」

 そういう見方をする者も多いだろう。それに答えるのは簡単ではない。新団体の旗揚げといっても、プロレス団体はプロレス団体だ。いきなりデスマッチをやるとかMMAをやるというわけではないから、すぐに“特色”が見えるわけではないのだ。それでもマリーゴールドの旗揚げ戦に、圧倒的な新鮮さがあったのは間違いない。

 小川氏は旗揚げ発表会見で「昭和」というワードを使っている。古き良き昭和のプロレス、そのエッセンスを活かしたいと。旗揚げ戦を前に所属選手たちが合宿を敢行したのも小川氏の発案による昭和テイスト。砂浜での“特訓”は、確かに懐かしくて新しかった。旗揚げ戦終了後には、関係者に大入袋が配られてもいる。

 小川氏がやりたいのは、時代を超越した“プロレスらしいプロレス”だろう。奇を衒わず、しかし新鮮で、選手の魅力をストレートに伝える。外国人選手の活躍も欠かせない要素だ。

【次ページ】 メインイベントでは団体エースがまさかの敗戦

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