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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
サッカー五輪代表「OAの3枠」の本命は誰か?「筆頭候補は板倉滉27歳、2人目は…」攻撃力重視ならオランダで得点量産中“あのFW”も
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2024/05/10 17:27
所属クラブのボルシアMG、そしてA代表でも主力を担う27歳の板倉滉。オーバーエイジでのパリ五輪招集が叶えば大きな戦力になる
東京五輪世代のエース候補と目されながら、自国開催のひのき舞台に立てなかった悔しさも、現在の彼の支えとなっている。パリ五輪のオーバーエイジに選出されれば、誰にも負けないほどのモチベーションで臨むはずだ。
五輪招集の高い壁…JFAにはタフな交渉が求められる
FIFAが定めるインターナショナルマッチウィーク外の五輪は、各国協会が選手を拘束できない。ヨーロッパ各国リーグに所属する選手の招集は、クラブ側の承認が必要だ。
一度は招集を認められた選手が、合流できなかったケースもある。16年のリオ五輪で、スイスのヤングボーイズに在籍していた久保裕也がメンバーに選ばれた。しかし、同じポジションにケガ人が出たことなどを理由として、クラブはなかなかリリースしなかった。手倉森誠監督(当時)はメンバー変更のデッドラインまで待ったが、最終的に久保抜きで戦うこととなった。
夏開催の五輪は、ヨーロッパ各国リーグのプレシーズンと日程が重なる。新シーズンが開幕しているリーグもある。それもまた、クラブ側が選手の招集に難色を示す理由となる。
16年のリオ五輪では、こんなケースもあった。
手倉森監督はMF清武弘嗣をオーバーエイジで招集しよう、と考えた。リオ五輪世代はU-20W杯出場を逃した選手たちで構成されており、12年のロンドン五輪と14年のブラジルW杯を知る清武は、チームに欠けている経験をもたらす意味でも適任者だった。しかし、リオ五輪が開催される16年夏に、清武はハノーファーからセビージャへ移籍した。新天地でのキャリア形成を考慮して、手倉森監督は清武の招集を断念したのだった。
かつての清武のように五輪前に移籍が決まった選手は、招集のハードルが一段上がる。クラブ側からすれば、招集を拒否する明確な理由となるからだ。
パリ五輪は7月24日に開幕し、8月9日に決勝戦が行なわれる。ベルギーやスイスの1部リーグは、五輪開催中に24-25シーズンが開幕する。エールディビジは8月9日が開幕節だ。
リーグによって、クラブによって異なる事情を踏まえつつ、選手が所属するクラブと粘り強く交渉していく。さらには、かつての久保裕也のようなケースも想定し、緊急招集のプランも練っておく。オーバーエイジではない久保建英(レアル・ソシエダ)、鈴木唯人(ブレンビー)らの招集も含めて、日本サッカー協会にはタフなネゴシエーションが求められる。
<パリ五輪「18人予想」編に続く>