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大谷翔平、規格外の「つなぐ」意識 ランナーがいても…“ドジャースの2番”として辿り着いた「セオリーにとらわれすぎない思考法」
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph byNanae Suzuki
posted2024/05/06 17:26
開幕直後はランナーありの場面でのストライクの見極めを監督から課題として言及されていた大谷。その後、どのような意識に至ったのか
そもそも大谷、ベッツにはチームから「グリーンライト(盗塁許可)」が与えられている。エンゼルス時代から大谷を知るディノ・エベル三塁ベースコーチは、 状況判断の秀逸さに絶対的な信頼を置く。
我々は、翔平が仕掛けたようなプレーを求めている
「翔平を含め、彼らは賢い。試合状況、相手投手によって走るタイミングを判断できる。だから、ストップのサイン以外は、彼らの判断次第。我々は、翔平が仕掛けたような、ああいう細かいプレーを求めている」
右肘手術後のオフ期間、下半身中心の強化トレーニングを続けていた大谷は、横ぶれの傾向があったランニングフォームを改良し、キャンプ中には元ブルワーズ監督でもあるロン・レネキー氏による特別講座を受けつつ、リード幅、構えなども修正した。その結果、5月5日終了時点で、成功率100%の7盗塁。数だけでなく、質を伴う走塁で、試合の流れを動かしてきた。
MVP選手が必死に練習する姿
試合開始数時間前、人影もまばらなグラウンドで今季からコンバートされた遊撃で黙々とノックを受けるベッツ、不振に陥れば早出特打で逆方向への打撃を繰り返すフリーマン……。
開幕以来、ナ・リーグ西地区首位を快走する中、大谷1人だけが目立っていないことこそ、何よりもドジャースの強みと言っていい。
「みんなプロ意識を持って、1人1人が試合だけじゃなくて、その前の取り組みも練習も、毎日やるべきことをしっかりやって出る結果じゃないかと思う」(大谷)
豪快弾で浮かべる笑み、快足を生かした盗塁、チームを鼓舞する雄叫び……。
グラウンド上で感情豊かな表情をのぞかせる大谷の姿こそ、多くのファンが待ち望んでいた光景ではないだろうか。