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箱根駅伝出場校の留学生「ドーピング違反」は、氷山の一角なのか? 検査体制、監督の指導、鉄剤注射…箱根の元ランナーが指摘する“抜け穴”
posted2024/02/19 06:01
text by
酒井政人Masato Sakai
photograph by
Tamon Matsuzono
3年間の資格停止&創価大は出雲駅伝の記録取り消し
学生三大駅伝で初めて“アンチ・ドーピング違反者”が出てしまった。
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)はリーキー・カミナ(創価大3年)に「アンチ・ドーピング違反」があり、3年間の「資格停止処分」を科したと発表したのだ。
カミナは昨年9月16日の日本インカレ男子5000m後に受けた尿検査で筋肉増強作用のある「ナンドロロン」が検出されたという。資格停止の期間は検査結果が本人に通知された2023年10月12日からで、10月9日に行われた出雲駅伝の記録も失効した。
創価大によると、カミナは7月下旬から9月上旬まで母国・ケニアでトレーニングをしていたが、「強い倦怠感の症状」が続いたため、友人に薬の購入を依頼。受け取った薬の成分を確認しないまま、「10日間」に渡って服用したという。その市販薬のなかに禁止成分が含まれていたようだ。
チームは全部員に対してアンチ・ドーピングに関する知識を理解する研修をこれまで行ってきた。サプリメントや薬を服用する際には必ず成分を確認するように指導していたが、カミナはそれを怠ったかたちになり、今回の“悲劇”を生んだ。
創価大は出雲駅伝で過去最高の2位に入ったが、チーム記録および出場選手すべての個人記録が消滅。そのため、4区山森龍暁(4年)と5区吉田響(3年)の区間賞も幻となった。本人も3年間の資格停止ということで、創価大の選手として活動していくのは難しくなったといえるだろう。
スプリンターはステロイドだが…
陸上界のドーピングといえば、1988年のソウル五輪男子100mでのベン・ジョンソンの筋肉増強剤が有名だ。レース後のドーピング検査で陽性反応が出て、世界記録と金メダルが剥奪された。