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《ライバル対談》「2時間3分30秒で走れるつもり」相澤晃と伊藤達彦が語り合ったマラソンへの強い意志「僕はトリッキーな選手になりたい」
posted2024/02/23 17:00
text by
涌井健策(Number編集部)Kensaku Wakui
photograph by
Tomosuke Imai
「大迫さんの次の主役は僕たちだっていう気持ちは強いです」
話題が、将来的な「マラソン挑戦」というテーマになり、影響を受けたランナーとして「大迫傑」の名前があがったときに、相澤晃(旭化成)はそう言い切った。伊藤達彦(Honda)も横で頷いている。そもそも伊藤は2021年の東京五輪で大迫がマラソンで6位に入賞した直後、SNSに以下の投稿をしている。
<次の世代って言われてるのに ひよってる奴いる⁉︎⁉︎ いねーよなー⁉︎⁉︎ 大迫さんに続くぞー!!!>
大迫について2人は続ける。
「ずっと第一線で活躍しているので、そういう人の行動やレーススタイルを見るのは僕自身が勉強になりますし、陸上をやっている中高生の心も動かされると思うんです。そういうのはすごいな、と」(伊藤)
「カッコいいですよね。顔もカッコいいんですけど(笑)、信念もカッコいいですし。僕もずっとカッコいいランナーになりたいと思っているので、大迫さんとは方向性は違うかもしれないですけど、そうなりたいです。実際に大迫さんに影響を受けているので」(相澤)
そして将来的なマラソン挑戦に関しては、明確な「YES」という意思を示してくれた。
相澤と伊藤の世代は、昨年12月の日本選手権1万mで日本歴代2位のタイムをマークした太田智樹(トヨタ自動車)、東京五輪や世界陸上に3000m障害で出場、世界陸上では決勝にも残っている青木涼真(Honda)ら強力なメンバーが揃っている。
その中でも、精神的な強さや一貫性が求められる「マラソンランナーとしての未来」に期待が膨らむのは、東洋大時代から駅伝やロードで圧倒的な強さと安定感を見せてきた相澤、そしてその相澤と駅伝などで競り合いながら、粘りや精神的なタフさを自らの走りで表現してきた伊藤だろう。
2025年の東京世界陸上はマラソンで
彼ら2人の中では、いつマラソンに挑戦するか、ロードマップが描けているようだ。
「パリ五輪の次(の年)に東京で世界陸上があるので、そこまではトラックで勝負したいなと思っています。そこからマラソンにいこうかな、と。現時点の予定では、ですけど。やっぱりマラソンは花形というか、一番注目されるので、そこで(陸上人生の)最後に勝負したいですね」(伊藤)
「僕は、東京世界陸上はマラソンで目指そうと思っています。もともとはパリもマラソンでという気持ちがあったので……。なるべく早くやりたい、という思いが強くて。どのくらい今走れるかわからないですけど、元々好きなのはロードなので、そこに戻って活躍したいです。僕もマラソンに憧れがありますし、キプチョゲ選手と一緒のレースを走ってみたいんですよね」(相澤)
だが、理想とすべきマラソンランナー像は異なる。伊藤がマラソンにおいて目指すのは「トリッキー」な選手だそうだ。