核心にシュートを!BACK NUMBER
守田英正発言「もっとアドバイスを」真意は行き詰まりを危惧か…日本代表取材記者が肌で感じた「ハリル解任→ボトムアップ型」の転換点
posted2024/02/12 17:00
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
現在の日本代表を覆いかぶそうとする影の存在を無視することは、もうできない。変革の時が来ていると感じるのだ。
ただ、いきなり現体制に異議をぶつけても反感を買って、前には進めない。まず、現体制における最高傑作についてはきちんと評価しよう。
今回のアジアカップで、日本は何度か芸術的なフィニッシュを見せた。
ADVERTISEMENT
・インドネシア戦の64分、堂安律が放った決定的なヘディングシュート。
・インドネシア戦の3点目。
・バーレーン戦の先制点。
この3つには共通点がある。
インドネシア戦の堂安のシュートは、日本の10選手が計14本のパスをつないで生まれた。3点目は、9人が計12本のパスをつないで、ゴールネットを揺らした。バーレーン戦の先制点は、9人が計19本のパスをつないで毎熊晟矢がシュートを放ち、10人目となる堂安がこぼれた球を押し込んだ。
相手に触られることなく、9人以上の選手が12本以上のパスをつないで生まれたのが、あの3つのシュートシーンである。全てのシーンにかかわっているのは、鈴木彩艶、中山雄太、毎熊、遠藤航の4人だった。一度でも関わった選手は彼ら4人を含め、総勢15人に及ぶ。
まるで現在の欧州王者であるマンチェスター・シティのような連動性ある攻撃だった。そんな感想に対して、遠藤航はこう答えた。
「そこは自分たちのトライしているところではあると思う。僕らはもともとボールを動かせるチームで、そのポテンシャルはあるはずなので。そうやって結果が出ているというのは、良いことだと思います」
相手がズルズルと引いた中ではあったが、多くのパスをつないでフィニッシュまで持っていく形は日本代表の真骨頂と言える。
「再現性というより、創造性かな」
では、そんな日本の攻撃は「再現性のある」ものだったのか。再現性のある攻撃に普段から取り組んでいる選手の筆頭が、アーセナルでプレーする冨安健洋である。
「あのようなシーンは『再現性のある』攻撃と呼べるのでしょうか?」
バーレーン戦の取材の終わりに問いかけると、こんな答えが返ってきた。
「どちらかというと……『再現性』というより『創造性』かな。代表ではそういうシーンが多い。前線にタレントが揃っているので」
あれは、現在のボトムアップ型のチームで日本代表選手たちが作り上げた傑作として胸を張るべきだろう。