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実は“三笘薫50mドリブル突破”の起点は町田浩樹だった「冨安健洋とともに信じきれなかったのか…」大胆起用・森保采配に“共感した後の切なさ
posted2024/02/09 17:03
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph by
Kiichi Matsumoto
イラン戦、センターバックを代えない決断を下した背景を考える前に――思い出してほしい。
カタールW杯ではドイツ戦、スペイン戦ともに、森保一監督は前半終了時に久保建英に交代を命じた。勝利のために、非情な決断を下せるのが森保監督なのだ。まして、あのときの久保がそうだったように、イラン戦のハーフタイムに板倉滉を下げていたとしても、それが板倉の価値を落とすことにはならない。
板倉は体調不良でベンチ外になったインドネシア戦でも「勝ちたい一心で」で、ハーフタイムも試合終了後もいの一番にスタンドからロッカールームにかけつけ、チームをねぎらえるような人間なのだから。
町田を、冨安を信じきれなかったのか
そして、もう1つ。投入候補の町田浩樹、さらにピッチで戦っていた冨安健洋を信じきれなかったことがネックとなった。
第1回で触れたとおり、板倉に代えて町田を投入するためには、冨安を試合中に左センターバック(CB)から右CBへと移すことになる。
これは確かに勇気のいる決断かもしれない。
ただ過去には、それ以上に勇気が必要だと思えるような英断を森保監督は下してきた。しかも、アーセナルでプレーしている冨安は、“試合途中”に左サイドバック(SB)から右SBへとポジションを移しても、難なくプレーしている。
また冨安は代表では左CBでプレーすることが多く、確かにそこが一番やりたいポジションではある。しかし23年10月のカナダ戦で左利きのCB町田浩樹とコンビを組み、右CBを務めたことについて「選べるなら『左で』と言いますけど、別に右でも(問題ない)という感じです」と話している。
だからこそ悔やまれるのが町田を信じきれなかったことだ。
町田は2023年10月のカナダ戦、そして今大会のインドネシア戦と左CBとして冨安と安定感のあるプレーを見せている。バーレーン戦で板倉を再びスタメンに戻したのは、主力を固定せず、多くの選手を起用してきた方針との相違を感じずにはいられない。
カナダ戦で町田が見せた“素晴らしいプレー”とは
カナダ戦を思い出してほしい。
試合序盤、日本は思うような戦いができずにいた。しかしVAR介入と確認、相手がPKを蹴るまでに、チーム内で修正案を話し合った。
この修正が機能しつつある中で、試合の流れを決定づけた町田の素晴らしいプレーがあった。