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《日本代表・失敗の本質》板倉滉は言い訳しなかったが…アジア杯前から“多くのハンデ”、中東勢のロングボール対策は? 取材記者が検証

posted2024/02/09 17:02

 
《日本代表・失敗の本質》板倉滉は言い訳しなかったが…アジア杯前から“多くのハンデ”、中東勢のロングボール対策は? 取材記者が検証<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto

バーレーン戦最終盤、足を痛めてピッチに座り込んだ板倉滉。実は大会前から厳しい状況の連続だった

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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Kiichi Matsumoto

 アジアカップ準々決勝、森保一監督の決断が取りざたされている。今大会の日本代表を現場取材し、板倉滉のドイツでのプレーもチェックする記者は舞台裏を含めてどう見たか。(全4回の第2回/第1回第3回第4回も配信中)

 イラン戦の采配が取りざたされている森保監督だが、カタールW杯ドイツ戦とスペイン戦はもちろん、過去の親善試合でも巧みな選手交代を見せてきた。

もし両WBに三笘、堂安を回せば…

 例えば、W杯メンバー発表前の最後の試合となったエクアドル戦である。あのときは80分に相手へPKが与えられる前から、交代のカードを準備していた。そして、PKの結果いかんに関わらず交代カードを切ると事前に決断していた。その際に、もしPKが決まれば攻撃的なニュアンスの3-1-4-2、決まらなければ守備的なニュアンスの5-3-2でプレーするように伝えており、その点について過去に触れた

 森保監督は3バックが守備的な布陣でないことを理解しており、柔軟な判断もできる指揮官である。イラン戦でも攻撃的なマインドを失わずに3バックにさせるなら、左WBに三笘薫、右WBに堂安律を回せば(2人とも所属クラブでこのポジションを任されたこともあるゆえに)強いメッセージになりえるはずだった。

 過去に強気で、柔軟性のある選手交代をできた森保監督の判断が鈍ったのは何故なのか。戦術や戦略面以外で不安を抱えていたのではないだろうか。

 以上は第1回で触れた――森保監督の言葉から見えてくる2つのポイントのうち、〈3バック採用で選手が「守備的な采配だ」とのメッセージ性を感じるのを避けたかった〉についてである。

 続いては〈大会のトレンドを踏まえ、守備的になりそうな交代は避けたかった〉点に触れよう。

“大会全体のトレンド”を読み切れなかった?

 日本対イランの前日に行われた韓国対オーストラリア戦では、5バックで守備的にしたオーストラリアが後半終了間際に韓国に追いつかれ、延長戦の末に敗戦した。どんな大会にもトレンドがあるのだから、前日の試合を考慮したこと自体は決して否定されるものではない。

 問題は、大会全体のトレンドを読み切れていなかった点ではないだろうか。

 1つの例として挙げたいのは――2014年ブラジルW杯でのドイツ代表である。

【次ページ】 中東開催における「戦略」こそ失敗の本質では

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