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《日本代表・失敗の本質》板倉滉は言い訳しなかったが…アジア杯前から“多くのハンデ”、中東勢のロングボール対策は? 取材記者が検証
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/02/09 17:02
バーレーン戦最終盤、足を痛めてピッチに座り込んだ板倉滉。実は大会前から厳しい状況の連続だった
ベトナム戦:成功率0%(12本中成功なし)
イラク戦:成功率13.8%(29本中4本成功)
インドネシア戦:成功率33.3%(12本中4本成功)
バーレーン戦:成功率16.7%(12本中2本成功)
イラン戦:成功率28.6%(7本中2本成功)
1試合平均:成功率16.7%(12本中2本成功)
*参考:あくまでも別の基準ではあるが、『Wyscout』によると日本代表2023年の10試合での平均は成功率37.5%(18.5本中6.9本成功)
イランなどのロングボールに苦しんだワケ
話を戻そう。
相手がベタ引きしてくれば、ポケット攻略は論理的な決断といえる。しかし、その前提となる対戦相手の戦い方を読み切れなかった失敗が見受けられた。
イランはベタ引きすることなく、ロングボール主体の攻撃を仕掛けてきた。それが上手くいかず、日本ボールになったときには、そこからハイプレスに移行した。であれば、ハイプレス対策としても有効で、選手たちのなかで以前から課題として捉えられていたポゼッション時の基本原理や原則を整理するべきだった。
以上が「準備に問題があった」と考える部分である。とはいえ――日本サッカーの未来につなげるためにここまで検証できるのは、森保監督が質問に対して真摯に答えてくれたから。そこには改めて敬意と感謝を表したい。
板倉は開幕前から多くのハンデを背負っていた
続いては選手起用の疑問について目を向けてみよう。
イラン戦、板倉滉が本調子ではないのは明らかだった。もっと言えば今大会における板倉は多くのハンデを背負っていた。
・23年10月の手術以降、実戦に復帰したのは1月6日のボルシアMGでの練習試合であり、ブランクが長かった。
・所属するボルシアMGから板倉にプレッシャーがかかっていた。
・その影響もあり、元日のタイとの親善試合後に多くの選手がオフをとるなかで、板倉は極寒のドイツへと飛んで練習試合への出場を余儀なくされた。その上で、そこから高温のカタールへ移動しなければならなかった。
・ボルシアMGの監督が明かした今大会中の体調不良。
・バーレーン戦での負傷。
慢性的な左足首の痛みを抱えていた板倉が痛みに耐えきれなくなったのが、10月17日の日本代表戦だった。