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中山雄太W杯絶望などケガ人続出…森保ジャパンが“交代策で番狂わせ”するには? “ドイツの名将”から学べる「2つの要点」 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byKiichi Matsumoto/Getty Images

posted2022/11/05 17:01

中山雄太W杯絶望などケガ人続出…森保ジャパンが“交代策で番狂わせ”するには? “ドイツの名将”から学べる「2つの要点」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto/Getty Images

森保一監督とナーゲルスマン監督。選手交代策1つをとっても指揮官の仕事は重要となる

〈「メンタリティに秀でたタイプ」によって自チームの選手たちに「(勝つための)感情」をもたらせなければ、クオリティのある選手、良い戦術、プレス、攻撃のパターンを用意したとしても意味をなさない〉

 ただ、森保監督が選手交代を不得手にしていても、それは恥ずかしいことではない。どんな人間・指導者にも得意、不得意はあるからだ。例えば、マンチェスター・ユナイテッドに数々の栄光をもたらしたアレックス・ファーガソンがしかりである。キャリアの後半は戦術面の整備をアシスタントコーチに任せていた。だが、それを理由に「ファーガソンは戦術のない無能監督だ」とこきおろす人はほとんどいない。

 ただ、苦手であることを認識したうえで最先端の理論(もちろん、ナーゲルスマン以外の監督の思考でもいい)から学び、選手交代の質を上げられるように。最大限の試行錯誤と努力することは求められる。

エクアドル戦での選手交代に感じた“前進”とは

 では、実際はどうなのだろう。W杯メンバー発表前の最後の試合となった、9月27日のエクアドル戦。0-0ながら劣勢に立たされていた状況で、吉田麻也と伊東純也が同時に交代で送り出された。たしかにあの選手交代は、過去からの前進を感じたシーンだった。

 それまでの〈4-2-3-1〉をやめて、〈3-1-4-2〉にも〈5-3-2〉にもシフトチェンジできるフォーメーションを採用したことで、かなりの劣勢が拮抗した展開に変わったからだ。その意図については監督自らこう解説した。

「まず、相手に押し込まれる展開が長くなってきた中、無失点で抑えながら戦う。実際、得点につながってもおかしくないチャンスは作れていたと思います。一方で、ハイプレスをする形はなかなかできなかったですが、ダイレクトプレーや展開を狙ってくる相手には対応できたかなと思います。もし(交代直前の)PKのところで失点していれば(※PKはシュミット・ダニエルが止めた)、人に強く行くハイプレスに変更できるようにと準備していました」

 仮に失点した場合、どのような位置からプレスをかけにいくのか。ピッチに目を移すと、相手のPKが蹴られるまでの間に遠藤航、長友佑都、相馬勇紀らは話し合いをしていた。

 ちなみに、この変則的な2トップの布陣を採用する可能性は選手に事前に提示されていた。いわば事前に決められた交代策である。加えて、見逃せない事実がある。

【次ページ】 “2戦目ターンオーバー説”は実行されるのか

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