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W杯惨敗「自分たちのサッカー」から約10年…「シン・自分たち」の日本代表“2つのキーワード”を遠藤航や三笘薫、堂安律の言葉から探る
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/11/20 17:02
ドイツなど強豪国からアジアレベルまで。W杯までに多種多様な相手と戦う日本代表に求められるものとは?堂安律らの言葉から考える
「もちろん、理想を求めて(なおかつ)勝ちたいです。僕たちには良い選手が揃っていますし。ただ、昨日もホテルで選手たちと話しましたけど、やはりあの時の例が挙がっていた。『南アフリカが終わってからの4年間、本田さんを先頭に、理想を求めて……(ブラジルW杯で)敗退した』ということは、経験している選手たちが話してくれた。
だからこそ、この大会で見せた粘り強い守備とかは、少し理想とは程遠いかもしれないですけど、それはベースとして持っていないといけないです。そして、そのベースを持ちながら、理想を追いかけるというのが良いかなと思っています」
三笘が語った「どの相手にも勝てる可能性がある以上…」
そうした紆余曲折を経て、日本代表は今、何にフォーカスすべきなのか。
現在の日本代表は、全会一致に近い形で「W杯優勝」という目標を掲げてはいる。ただし、そのための方法論(=HOW)が、これまではメッセージとしては弱かった。〈臨機応変〉というキーワードはあったとはいえ、この言葉だけでは国民に夢は見せられないため、この設定に至った側面もあるのだろう。
ただ、忘れてはならないことがある。現チームが掲げている「W杯優勝」はとてつもなく大きな目標である。
「どの相手にも勝てる可能性がある以上、そこ(*W杯優勝)を目指すのは普通かなと思いますし、その上で、(初の)ベスト8が通過点になればいいかなと思います」
思慮深い三笘薫がそう語るように――荒唐無稽ではないものの、実現するのは簡単ではないことは自明だ。
それを踏まえれば、実現させるためには色々な人を巻き込んでいかないといけない。巻き込むことで、各選手の言葉には責任が生まれ、その責任は彼らにさらなる自覚を促す。また、ファンに夢を見せることで一層、人気がふくらむ。すると、その人気が期待となり、期待を背負うことが選手の誇りにつながる循環が生まれる。
日本国民に夢を見させることは、直接的に「W杯優勝」にはつながってはいないだろう。それでも、巡り巡って選手やチームの強さにつながるのだ。
臨機応変に戦いつつ、主体的に主導権を握る
その意味で〈主体的〉というのは、26年W杯を目指すチームの大きなテーマになる。
もちろん、相手によって、シチュエーションによって戦い方は変える。
例えば、守備を固めているときでも、相手にあえて攻めさせつつ、反撃していくためにどうすればいいのかを事前に考え、実行する。もちろん、ボールを支配して相手の守備を崩すことが最善なら、それを実行する。
〈臨機応変〉に戦いながら〈主導権〉を握るのはいつも、自分たち。相手がワールドチャンピオンであろうと、それは変わらない。
そして、それこそが日本代表チームが掲げるべき「シン・自分たちのサッカー」ではないだろうか。