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W杯惨敗「自分たちのサッカー」から約10年…「シン・自分たち」の日本代表“2つのキーワード”を遠藤航や三笘薫、堂安律の言葉から探る
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/11/20 17:02
ドイツなど強豪国からアジアレベルまで。W杯までに多種多様な相手と戦う日本代表に求められるものとは?堂安律らの言葉から考える
遠藤は今回の代表活動が始まる前、自身のオウンドメディアである「月刊 遠藤航」で、「『臨機応変』さが日本人の一番の良さだと思っている」と話していた。
遠藤が「敵地ドイツ戦での4-1」を例に挙げた理由
〈臨機応変〉〈主体的〉という言葉は、一見すると相反するもののように思える。
もちろん〈臨機応変〉に戦い方を変えるのは決して悪いことではない。ただ、「自分たちのサッカーはこれだ」と定義することこそが〈主体的〉なのではないだろうか。
そんな疑問をぶつけると、遠藤はよどみなく答え始めた。
「主体的と言っても『自分たちがボールを持つ=主体的』だとは思っていないので……」
解説はこう続いていった。
「(カタール)W杯で言えばクロアチア、モロッコは『しっかりと守備をすることで、主体的にゲームを進める』感じでした。ブロックを引くことも、何も別に問題ないと思ってやっていたというか……。
そういうことを自分たちのゲームプランの中でやっているのであれば、主体的だと言えると個人的には思うので」
遠藤が例に挙げたのは、9月に行われたドイツ代表とのアウェーゲームについてだった。4バックでスタートして前半を2−1で折り返したあと、後半途中から5バックにしてカウンター狙いへとシフトチェンジ。後半の終盤に思惑通り2点を加えて、4−1で勝利をつかんだ試合だ。
「ドイツ戦の前半は(ディフェンスライン)4枚で、もっと前にどうやって行けるのか。そういったプレスのかけ方で、自分たちが主体的にアクションを起こしました。後半は5枚にして、こちらも主体的にブロックを引くゲーム展開を作って、カウンターで仕留めた。
だから臨機応変と主体的、相反する言葉を使っているように見えるかもしれないけど、自分の中では、それはすごくマッチしているんです」
この〈主体的〉という言葉こそが、次のW杯までの2年半の大きなキーワードにしていくべきものだろう。
では、2010~2022年W杯はどんなテーマだった?
では、過去はどんなキーワードを持って日本代表は挑んでいったか。2010年以降のW杯における日本代表のテーマと概要を振り返ってみよう。
★2010年:〈勝利〉にフォーカス★
岡田武史監督就任当初はハイプレスのサッカーを目指していたが、思うような成果が出ず、大会直前に戦い方を大きくシフトチェンジ。中盤に5人の選手を横一列に並べてスペースを消す4-5-1の守備ブロックを作り、1トップにはトップ下が本職の本田を配して、勝つ確率を上げるための守備的なスタイルで決勝トーナメント進出を果たした。
一方、南アフリカ大会後に、今度は攻撃的なサッカーをしたい、と主力選手が志向するようになっていった。