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アルゼンチンを5-2撃破、U-22日本代表に潜む「パリ五輪最終予選で海外組を招集できる保証がない」問題…ポジション争いと序列の現状は?
posted2023/11/20 11:30
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Tsutomu Kishimoto/PICSPORT
来年4月にパリ五輪アジア最終予選を控えるU-22日本代表(大岩ジャパン)が同じく来年1月に南米予選を迎えるU-22アルゼンチン代表に5-2と勝利した。
この結果に、アルゼンチンのレジェンド、ハビエル・マスチェラーノ監督は「心配だし、とても悲しい気持ちだ」と嘆くしかなかった。
アグレッシブさとハイプレッシャーを披露した
2022年3月のチーム立ち上げ以来、大岩ジャパンが国内で強化マッチを行うのは初めてのこと。
「我々がどんなサッカーをするチームなのか、知ってもらいたい」
試合前、大岩剛監督は繰り返し語っていたが、おおむね好印象を残すことに成功したのではないか。
ボールを奪ったらゴールを目指し、難しければ、ボールを意図的に動かしながら狙うべきポジションに入ってボールとスペースを支配する。
ボールを奪われてもすぐさまアグレッシブに奪い返し、相手のビルドアップの際にはハイプレッシャーも仕掛けていく――そうしたスタイルは随所に見えていた。
1-1で迎えた後半開始から約20分間、ミスが続いて逆転され、相手に流れを明け渡したのは大きな課題として残ったが、指揮官は試合翌日、「ボールを保持しているときのミスや、保持していないときのポジショニングのミスを映像で見せて、自分たちがやれたこと、やれなかったことを整理した」と、21日の第2戦に向けてさっそくフィードバックしたことを明らかにした。
第2戦は非公開で行われるため、取材ができる年内の強化マッチは第1戦が最後。来年3月に2試合の親善試合を行い、4月のアジア最終予選に臨むことになる。
アルゼンチン戦は想定内、難しいのはポジション争い
立ち上げの頃からこのチームを取材してきた身としては、長距離移動をして本調子ではないアルゼンチンを相手にこの結果と内容は想定内だった。
このチームは昨年9月から6月にかけて4度の欧州遠征を行い、ポルトガルやイングランドを破り、イタリア、ドイツ、オランダと引き分けた実績がある。
アルゼンチン戦は日本での開催だったから、気候に慣れており、日本平のピッチ状態も良好。ウズベキスタンやバーレーン、アメリカで、酷暑や芝のハゲたピッチに苦しめられた経験のある選手たちにとって、アルゼンチン戦はこれ以上にないくらいプレーしやすい環境だったはずだ。
一方、1年半、取材してきても判断が難しいのがポジション争いの行方だ。ここにきて、競争が激化してきているのだ。