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「四球の年俸査定ポイントを上げてくれ」阪神・岡田彰布監督は開幕前にフロントに直談判…急増四球が“あの球界のエース”の撃破を生んだ 

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掛布雅之

掛布雅之Masayuki Kakefu

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posted2023/11/04 11:01

「四球の年俸査定ポイントを上げてくれ」阪神・岡田彰布監督は開幕前にフロントに直談判…急増四球が“あの球界のエース”の撃破を生んだ<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

「四球1個=ヒット1本」という思考が強いという岡田彰布監督。阪神躍進の理由は急増した四球にアリ…?

 佐々木相手に連打は期待できない。そこで各打者が打ちにいくストライクゾーンを狭め、限定し球種を絞る。追い込まれてからもボール球を見極め、四球を選んで次につなげる。そういう姿勢をチーム全体で徹底していたからこそ、佐々木相手に1安打で勝てたのだろう。

 また、その四球によって劇的な勝利を収めたのが、2023年8月12日のヤクルト戦だ。

 阪神が計7四球を奪って劇的なサヨナラ勝利につなげたのだ。

 初回は先頭・近本が四球で出塁し、中野がヒットでつなぎ、1死二、三塁から大山の内野ゴロの間に先制点を奪う。さらにノイジーがライトへタイムリーヒットを飛ばし、2点を先制。

 6回は1死から佐藤輝明の四球が足がかりとなり、ノイジーの安打で一、三塁とすると、坂本誠志郎のセーフティースクイズが成功。延長12回にも、無死二塁から森下翔太が四球を選び、佐藤のセンターへのサヨナラ犠牲フライにつながり、4対3で勝利した。

両リーグでも断トツの阪神の「四球数」

 今季(2023年)の阪神好調の理由は、四球の多さにあると言っていいだろう。

 今季の両リーグ断トツの四球数は、確かな得点源にもなっている。ランナーが出なければベンチは何も動けない。四球を含めた出塁率を高めることが、得点につながっていくのだ。8月12日の試合も、得点した回はすべて四球が絡んでおり、2023年のチーム打率は2割4分7厘でリーグ2位だが、12球団最多494という四球を生かして得点につなげている。

 個人成績でも2022年のセ・リーグ出塁率ランキングでは、大山が6位に入っているだけだが、2023年は大山、近本、中野が10位以内に入り、佐藤も11位となった。

 また、チーム本塁打84はリーグ5位だが、106犠打はリーグ2位と、確実に送りバントを決めている。また、犠飛数も突出している。

 47犠飛は12球団トップで、リーグ2位のヤクルトに13の大差をつけた。その結果、阪神の1点差ゲームは27勝16敗。貯金11で、二番目に多い広島の26勝22敗と比較して圧倒的である。

【次ページ】 四球が急増した理由は査定アップにあり!?

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