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「タックルは疲れる…」ラグビー日本代表は4年後、どんなチームを目指す? 大西将太郎「高校ジャパンやU20も代表ヘッドコーチが見るべき」
posted2023/10/28 11:05
text by
大西将太郎Shotaro Oonishi
photograph by
Kiichi Matsumoto
前回のW杯から、ジャパンのラグビーは大きく変わった。フランスW杯4試合のスタッツが、それを裏付けている。
まず、アタックの項目が軒並み減少した。
【2019年W杯とのプール戦4試合の比較】
★キャリーメートル −638(2148→1510)
★ラン −190(548→358)
★パス −223(721→498)
特に気になるのは、200回以上も減っているパス。これは、アタックが継続できなかったことを表している。高温多湿な国内の試合でも見られたハンドリングエラーや細かいミスで、トライにたどり着くまでにボールを失った。
ジャパンのトライ数は12。対して、プール戦でトライが一番多かったニュージーランドは38。フィニッシュまで持っていく力がいかに大事か。やはりトライを取れないと、ベスト8の壁を越えるのは厳しい。
逆に、増えたのはタックルとキックだ。
「ディフェンシブなチーム」になった理由
★タックル +85(585→670)
★キック +21(84→105)
プール戦でのタックル数は出場20カ国でトップ。2019W杯でもタックルは比較的多かったが、連続したフェーズアタック、紡ぐようなオフロードパス、相手の真裏のスペースに転がして競うキック。こういったオフェンシブなシーンが印象的だったし、実際トライに結びついていた。
だが、タックル数からわかるように、今大会のジャパンはディフェンシブなチームに変化していた。その要因はいくつかあると思う。
中でも、パンデミックの影響で1年間、対外試合ができずに強化活動が停止したのは痛かった。他国に後れをとり、ジェイミー・ジョセフはじめコーチ陣は世界と戦えるスタイルを模索し、ディフェンスに重きを置いたのだろう。
アタックは複雑だ。繰り返す手間と時間が必要な一方、ディフェンスはチームのルールをいくつか決めて、そこに選手のハードワークが乗れば形になる。代表合宿でも、体をバンバン当て続けるタックル練習など、フィジカルを鍛えるメニューが多く組まれていた。