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「タックルは疲れる…」ラグビー日本代表は4年後、どんなチームを目指す? 大西将太郎「高校ジャパンやU20も代表ヘッドコーチが見るべき」
text by
大西将太郎Shotaro Oonishi
photograph byKiichi Matsumoto
posted2023/10/28 11:05
2019年とは異なる戦い方で臨んだジェイミー・ジョセフHC(53歳)。2大会連続の8強入りは果たせなかったが、長きに渡る日本ラグビーへの貢献は大きい
タックル数が多いのは悪いことではない。ただ、ジャパンに次いでタックル数2位のウェールズ(669回)は、ボール支配率が平均51.8%。対してジャパンは42.3%で、下から2番目。80分間のうち、多くをディフェンスに割いていたことを裏付ける。それだけアタックができなかった。
自分の体験とも重なるが、タックルは疲れる。相手のアタックに合わせてタックルし続けるのは、体力的にはもちろん、メンタルも消耗する。試合展開的に押されているとなおさらだ。
疲れは、小さな綻びを生む。アルゼンチン戦が象徴的で、得点して追い詰めても、その後のキックオフレシーブでボールロスト。小さなミスで相手にボールを渡してしまった。タックルでパワーを削がれて、アタックに注ぐ余力がなかったように思う。
ペナルティの少なさ、スクラムの安定
ただ、ポジティブな部分もあった。犯したペナルティは28でプール戦では最も少ない。規律面は他国よりも際立っていた。あとは、なんといってもスクラムの安定だ。成功率は36/41で驚異の88%。これは20カ国の中で最も高い。イングランド戦の序盤、自陣ゴール前でのビクともしないスクラムは世界を驚かせただろう。セットプレーが安定すると、思い切って1次攻撃を仕掛けることができる。スクラムは、確実にジャパンの武器になっている。
だが、その武器で強敵から白星を奪うことはできなかった。今大会はこれまでとは異なり、1週間以上空いたスケジュールで準備することができた。過去のW杯では中3日での試合もあったが、消耗戦が続くジャパンにとってはプラスに働いただろう。しかし、マツ(松島幸太朗)が「連戦で明らかに疲れている選手もいた」と話したように、疲労は蓄積していく。一人あたりの出場時間をコントロールしなければ、チームとして最後まで力がもたない。