箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
《箱根予選会6位通過》立教大“消えた天才”は甦るのか? 三浦龍司でも、吉居大和でもなく…「最強世代」トップランナーだった男・服部凱杏のいま
posted2023/10/16 17:03
text by
山崎ダイDai Yamazaki
photograph by
Yuki Suenaga
10月14日、舞台は立川・国営昭和記念公園。
例年とは少し違う好奇の注目も集めながら、立教大学は6位で箱根駅伝予選会を通過し、2年連続の本戦出場を決めた。上野裕一郎前監督が予選会直前に解任されるという逆風を受けながら、選手たちはそのタフさを存分に発揮した格好だ。個人14位に入った関口絢太(4年)を筆頭に、下級生主体ながら7人がハーフマラソンで63分台以内を記録するなど、盤石の安定感を見せた。
予選会にエントリーされたメンバーやスタッフが部のテント前で喜びを爆発させ、歓喜に沸く江戸紫の輪から少し離れたところに、4年生の服部凱杏(かいしん)の姿はあった。
昨年の箱根駅伝本戦で7区を走った服部だが、今回の予選会では14人の登録メンバーからも漏れていた。服部本人が振り返る。
「年始の箱根後から、ちょっと走りの感覚が良くなくて。4月頃から走るのをいったんやめていたんです。6月までは陸上から離れるというか……走る練習をストップして。6月からは夏合宿に向けて練習を積んでいたんですけど、小さなケガもあって間に合わなくて。そこからちょっと予選会への流れに乗るのが難しくなってしまいました」
100回目の節目を迎える今季の箱根駅伝。
中でも注目を集めるのは、多士済々の4年生ランナーたちだ。
「黄金世代」のはじまりは中学時代から
東京五輪、ブダペスト世陸の3000mSCで入賞経験のある三浦龍司(順大)、昨季の箱根路“花の2区”で快走を見せた吉居大和(中大)、“常勝”駒大のキャプテンにしてエースの鈴木芽吹など、世界レベルの活躍を見せている選手も多く、大学陸上界でも史上屈指の活躍を見せている。
実は彼らの世代が最初に話題になったのは、今から7年前の中学時代まで遡る。
この年の中学陸上界は、異例づくしの1年間だった。800m、1500m、3000mの、中学で実施される中長距離種目のすべてで中学記録(当時)が更新されたのだ。しかも、ひとりではなく何人もの選手がそんな破格の記録をマークした。林田洋翔(現三菱重工長崎)、佐々木塁(現青学大)、馬場勇一郎(現明大)、そして服部。“BIG4”とも“四天王”とも呼ばれた4人のランナーを旗頭に「最強世代」として一躍、ファンの注目を集めることになる。
そして、そんな黄金世代の中でも先頭を走ってきたのが服部だった。