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フリック解任“真の要因”はドイツ絶不調+日本代表が「全然ビビらずやれた」から…遠藤航、板倉滉が胸を張る“W杯→クラブでの自信”
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byMutsu Kawamori
posted2023/09/11 19:26
ドイツの要注意人物、サネを包囲する日本代表の守備
「あそこで持たれてしまう感じはありました。でも、ズルズルと引かずに、最低限のラインは一応、決められてはいたので。あとは、伊藤洋輝が2対1の状況をうまく作って、対処してくれたらと」
さらに、このサネを活かす特殊システムに対して、森保一監督はハーフタイムを機にやり方を変える決断をした。
日本の左サイドに張り出すサネ対策として、守備時には三笘が最終ラインまで下がる〈5-4-1〉にして、攻撃時には〈4-2-3-1〉になる形で対応した。さらに58分には谷口彰悟が入ることで、攻守ともに完全に5バックにして、ドイツの攻撃の狙いを完全にシャットアウトした。
2-1を保ちながら、カウンターで3点目、4点目を
見逃せないのは、前半のような形を続けていても、ドイツを上回れるという自信が選手たちのなかにはあった。実際、森保監督の戦術変更に驚いた選手たちもいた。しかし、監督の決断により、どのように戦うのかが決まれば、その指示を遂行できるところに、今の選手たちの強さがある。
谷口は言う。
「5枚並べることによって、後ろに重たくはなります。なので前半と比べると、ちょっと下がってしまう部分はありました。それでも『5枚にしたらそういう現象は起こりうる』とみんな理解はしていましたから。しっかり我慢して、 2-1の状態を保ちながら、カウンターで3点目、4点目を狙いに行く。そこはある程度割り切ってやれました」
後半は相手にボールを持たれる時間こそ長くなってしまったという反省は残ったものの、相手に許したシュートは前半よりも少ない5本だけ。そのうち枠内シュートは1本だけだった。失点を許さずに我慢した結果、日本は試合終盤に「コンディションは僕史上、過去最高」と明言していた久保建英のチャンスメイクから2点を奪い、試合を決めることになった。
極端に守備的にシフトしなくても守れる。そんな自信があった選手たちなのだ。しっかり守ろうとする戦いをすれば、怖いものはなかった。
広いスペースを個人の力で守っていかないと
攻撃面で日本がカタールW杯の課題を克服しつつあるのは明らかだったが、守備面でも実はひっそりと成長していた。その成長の跡がうかがえるのが、カタールW杯での敗退が決まった後の板倉のこんな話だ。