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三笘薫ら輩出の名門・筑波大に“久保建英らを育てた中西メソッド”注入「最初は疑いというか…」1年生エースが「決定力は伸ばせる」と確信したワケ
posted2023/07/17 11:00
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph by
AFP/JIJI PRESS
日本サッカーの未来を変えるプロジェクトになるかもしれない。
これまで中西哲生は久保建英(レアル・ソシエダ)、斉藤光毅(スパルタ・ロッテルダム)、中井卓大(レアル・マドリーB)らをパーソナルコーチとして個別に指導し、彼らの技術を上げる取り組みを続けてきた。帰国時だけでなくシーズン中も指導を続けており、たとえば久保に対してはソシエダの毎試合の直後、すぐに鍵となる場面を何十シーンも映像で送っている。
ただし、あくまで個人的な取り組みであり、日本サッカーのメインストリームとは別の場所で行われているものにすぎなかった。メディア業界でキャスターとして成功しているため、サッカー関係者からはむしろ色眼鏡で見られることの方が多かっただろう。
だが、ついに潮目が変わった。今年4月1日、中西哲生が筑波大学蹴球部のテクニカルアドバイザーに就任したのである。
三笘らを輩出した筑波大の攻撃が爆発している
筑波大学と言えば、三笘薫、谷口彰悟、井原正巳、中山雅史、風間八宏、長谷川健太ら多くの名選手・名将を生み出しただけでなく、分析官や日本サッカー協会職員など多くの裏方を輩出している「日本サッカーの総本山」だ。田嶋幸三会長も筑波大学出身だ。
本流×異端。しがらみや偏見を叩き壊す奇跡の融合であり、中西のメソッドが日本サッカーのメインストリームに入っていくことが期待される。
すでに筑波の試合ではポジティブな変化が見られている。
攻撃が爆発しているのだ。
関東大学1部リーグにおいて、筑波大学は計29得点をあげて首位を独走。9節時点でまだ一度も負けておらず、2位に勝ち点差6をつけている。
もちろんこれは小井土正亮監督のマネジメント、コーチとして実質的な指揮を任されている平山相太の采配、そして何より選手たちの実力によるものだ。今年は「三笘効果」も相まって高円宮杯プレミアリーグEAST得点王の内野航太郎(横浜F・マリノスユース)や日本高校選抜のキャプテン・徳永涼(前橋育英高)ら超S級の1年生が入部してきた。もともと筑波大学には首位になりうるポテンシャルがあった。
レストランでたとえるなら、優れたシェフと食材がそろっている名門店に、中西が秘伝のソースを持ち込んでさらに特別なものにした――こんなイメージだろう。
「決定力とチャンスメイク」に見る中西メソッド
中西の指導は「キック」、「シュート」、「トラップ」、「ターン」、「ボール奪取」、「姿勢」、「呼吸」、「視野」など多岐に渡る。フィールドプレーヤーのすべてのプレーが対象だ。中西は週に約1回のペースで筑波大学を訪れ、チーム練習後に設けられた自主練の時間に希望者に対して指導している。4年生の山内翔、3年生の角昂志郎、田村蒼生、半代将都、1年生の内野、徳永などレギュラークラスが常連だ。