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揺れるソフトバンク「捕手は併用すべきか」問題…野村克也・甲斐拓也ら「黄金期は正捕手がいた」歴史も“DeNAから加入選手”で変革か 

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田尻耕太郎

田尻耕太郎Kotaro Tajiri

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posted2023/05/11 11:02

揺れるソフトバンク「捕手は併用すべきか」問題…野村克也・甲斐拓也ら「黄金期は正捕手がいた」歴史も“DeNAから加入選手”で変革か<Number Web> photograph by JIJI PRESS

捕手は「固定」か「併用」か――。いま、ソフトバンクはその分岐点に立っているように見える

嶺井博希を獲得した真意

 オフに大型補強を敢行したチームの中でも真っ先に獲得発表(昨年11月21日)となったのが嶺井だった。球団の三笠杉彦GMは「強化ポイントの1つがキャッチャーだった」とし、次のように経緯を説明した。

「甲斐捕手をレギュラーとして1年間戦ってきたが、もともと負担が大きいポジションでもあります。長いシーズンの中でコンスタントに勝利を重ねていくためにも実力ある捕手が1人いたらいいなと思っていました」

 嶺井は「捕手併用」のDeNAの中で1年目から毎年一軍出場を果たし、昨年は自己最多の93試合に出場。通算では472試合に出場してきた。さらに三笠GMが「ベイスターズ時代だけでなく、高校や大学でも日本を代表する捕手として経験を積んできたのも強み」と話したように、沖縄尚学高校では1年生からレギュラーをつかみ、2年春のセンバツ甲子園で全国制覇を経験。その時にバッテリーを組んだのが1学年上で、現・ソフトバンクの東浜巨だった。

 その東浜を追うように亜細亜大学に進学すると、東浜だけでなく同級生の九里亜蓮(現・広島)やのちにDeNAでもバッテリーを組む1学年下の山崎康晃もリードした。4年間で6度のリーグ優勝、4年生秋には明治神宮大会で大学日本一になるなど輝かしい実績も築き上げた、まさに「実力ある」捕手といえる。

 果たして、2023年のソフトバンクはどのような捕手起用をするのか――。

捕手起用の「迷い」…藤本監督の言葉で振り返る

 じつは今季開幕前からその議論はチーム内でたびたび行われていた。しかし、方向性がなかなか定まらず、気づけばここまで進んできたという印象だ。

 たとえば、オープン戦の頃は、藤本博史監督が捕手併用プランを口にしていた。

「投手は予告先発だけど、捕手は予告先発ではない。相手は甲斐のリードを研究しておけばいいと思っているかもしれない。(昨季優勝した)オリックスは捕手3人(伏見寅威=現日本ハム、若月健矢、頓宮裕真)で回していたけど、それもいい方法かな。甲斐がメインになってくると思うけど、そこにうまく何人かはめられる形になれば」

 今季のオープン戦は甲斐がWBC参加で不在。新加入の嶺井をはじめ昨季47試合に出場した海野隆司25歳や渡邉陸22歳、谷川原健太26歳といった若手が代わる代わるマスクを被った。しかし、チームはオープン戦で7勝10敗、9位と低迷。チーム防御率3.47は12球団中11位という結果も相まって、藤本監督の言葉にも変化が生じた。

【次ページ】 「少しずつ甲斐と回していったらいい」

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