炎の一筆入魂BACK NUMBER
合言葉は「TIJ」 日本式をポジティブに受け入れ、3連覇と似た雰囲気を醸し出すカープ外国人選手の存在感
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKYODO
posted2023/05/08 11:01
今身は中継ぎとして重要な場面で起用されているターリー。5月8日時点で防御率1.46と結果を残している
「中継ぎにとっては光栄な期待、役割だと感じます。どこの場面でも投手としては重要な役割であることに変わりはないですが、僅差や同点の場面で使ってもらうことで責任感は増す」
今季は開幕から勝ちパターンに固定され、5月8日現在14試合で2勝、8ホールド、1セーブ、防御率1.46という安定ぶりで、起用に応えている。
攻撃陣を見てみると、開幕から打順が変わらないのは、3番秋山翔吾と、4番ライアン・マクブルームの2人のみ。4月まで打率4割を維持した秋山に比べ、マクブルームは低調なスタートとなった。
だが全試合、4番はマクブルームだった。新井監督のチームづくりにおいて、「エース」と「抑え」、そして「4番」は特別な存在であるように感じる。自身も現役時代に長く4番を務めてきた経験もある。広島打線の中軸候補に左打者が多いこともあるだろうが、指揮官は143試合スタメンで出続けられる選手を打線の中心に置きたいのではないか。開幕前には最初に決めた開幕オーダーは「4番マクブルーム」だと明言した。
信頼と見極めがチーム浮上の鍵
信頼、信用、自信がすべての礎という、「信は万物の基を成す」という言葉がある。ただ、信じる者が必ずしも報われないのが、プロの世界。ここまで、ドミニカカープアカデミーから入団したロベルト・コルニエルが先発で成長を示す一方で、ターリーを除く外国人選手たちは、十分な働きができているとは言えない。
見極めなければいけない時期は、当然来る。
アンダーソンに中継ぎ調整の必要が生じたり、マクブルームの打順を下げたり、デビッドソンが二軍で再調整せざる得ない日が来るかもしれない。仮にそうなっても、そこまでに積み上げてきた信頼関係によって彼らはきっと納得する。そして、もう一度はい上がろうとする力に変えるに違いない。
3連覇した2018年までも、外国人選手たちが重要なピースを担っていた。確かな力をつける若手の台頭を待ちつつも、やはり外国人選手の存在が広島の浮上の鍵を握る。
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