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[リーダーに問う]ダルビッシュ有「質問で相手を変えられる」
posted2023/04/28 09:01
text by
小西慶三Keizo Konishi
photograph by
Yukihito Taguchi
WBCでは侍ジャパン最年長としてチームをまとめ、若手投手陣と積極的に意見交換して士気を高めた。なぜ、あれだけのリーダーシップを発揮できたのか。パドレスでの日々の取り組みに、理由の一端が見える。
ダルビッシュ有⇔侍ジャパン投手陣<コミュニケーションの極意>
①ピッチングを共通の話題として使う
②変化球を実践して説得力を持たせる
③「他人が見ている世界」を尊重する
◆◆◆
4月16日、ペトコ・パークのブルワーズ戦で喫した今季2敗目を、ダルビッシュ有はさばさばと受け止めた。
「とにかく勝てそうな試合をつくるというのが一番の仕事。今は勝ちがついていないですが、援護次第では年によっては3勝している可能性もある。そこはあまり気にしていないですね」
前回登板のメッツ戦に続き、2試合で味方打線の援護はゼロだ。しかし、今のダルビッシュにはそういった運、不運に動じる様子が全くない。この日は2年ぶりに12奪三振を記録し、7回1失点。だが、その唯一の失点が、牽制球の回数制限という新ルールに影響されての決勝点となっていた。
「でも、これも今のMLBの野球の一部。だから、こういうこと(新しい規則絡みのハプニング)が勝てる理由、負ける理由として、新しいルールの中で増えてきているということだと思う。今日、皆がここから学ぶことがある」
0対1の競り負けを俯瞰するかのような口ぶり。この落ち着きの背景には、何があるのか――。