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[宮崎キャンプ密着記]ダルビッシュ有/村上宗隆/佐々木朗希/宇田川優希「ダルビッシュ塾がもたらしたもの」
posted2023/03/09 09:02
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Hideki Sugiyama
南国・宮崎は、まさにダルビッシュ一色となった。ファン、報道陣だけでなく、チームメイトたちまでが大投手の言動に目を凝らした。その存在が日本代表に与えた効果とは何か。12日間でのチームの進化を追った。
前日にチャーター機でキャンプ地・宮崎に乗り込んだダルビッシュ有投手は、一夜明けた2月16日には早速、岡本和真内野手、戸郷翔征投手、大勢投手、大城卓三捕手の巨人勢と合同練習を行なった。古巣・日本ハムの帽子をかぶり、パドレスの短パン姿でグラウンドに入ると、キャッチボールではカーブやスライダーも試投。そこで年齢が一回り以上違う22歳の戸郷に、いきなり“ダルビッシュ塾”の開講だ。
「例えばツーシームであったりとか、フォークであったりとか、どういう風に投げているとか、どういう風な回転をかければ、どういう風に曲がりやすいっていうのは話していました」
身振り手振りを交えたレジェンドの直接指導に戸郷は「新しい感覚がたくさんありました。1日でも早く吸収したい」と目を輝かせた。
「今のところ結構、警戒されていると思うので、あまりまだ話していない選手もいるんですけど……」
キャンプ初日。こう語ったダルビッシュはアップから積極的に選手たちに話しかけてコミュニケーションをとる姿が目立つ。
球場到着から練習開始までの時間が短かったため、他の投手陣がサブグラウンドでキャッチボールを始めると、本球場に戻ってウエイトトレーニングなど別メニューで調整。その後サブグラウンドで「一番、声をかけやすそうな人が鶴岡さんだった」とかつて日本ハムでコンビを組んでいた鶴岡慎也元捕手を指名して、キャッチボールから遠投など約1時間半汗を流した。