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大阪桐蔭戦で光った報徳学園・堀柊那の“強肩”ぶり…スカウトの評価は?「堀の涙からスタートした」監督が明かすキャプテンの成長記録

posted2023/04/07 06:00

 
大阪桐蔭戦で光った報徳学園・堀柊那の“強肩”ぶり…スカウトの評価は?「堀の涙からスタートした」監督が明かすキャプテンの成長記録<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

主将としてチームを牽引した報徳学園・堀柊那。打撃では気負いを感じさせたが、勝ち進むにつれて存在感を示した

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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Nanae Suzuki

 先日閉幕したセンバツ甲子園で惜しくも準優勝に終わった兵庫・報徳学園。戦いを終えたナインが母校へ戻った4月2日、アルプススタンドで友情応援をしたラグビー部や剣道部らの部員たちが花道をつくって出迎えてくれた。2002年大会以来となるセンバツ制覇とはならなかったが、健闘を称える拍手が響いた。

 その中で、銀メダルを下げた主将・堀柊那(3年/ほり・しゅうな)の表情は、どこか物憂げだった。

 当初のチームの目標は「ベスト8」。しかし、難敵を次々に倒し、決勝の舞台にたどり着いた。そこに立った以上は本気で勝ちにいった。だが、勝てなかった。何が足りなかったのか。堀はキャプテンとして、捕手として、反省の弁を述べる。

「(山梨学院に)7点を取られるまでに修正するのが遅くなってしまって……。配球の面での自分のミスもありましたし、しっかりインコースを投げさせてあげられなかった。どこが良くないのかを気づかせてあげられなかったのも自分の責任です」

 先発した右腕・間木歩(2年/まき・あゆむ)の制球力の良さを生かし、カウントを稼いでピッチャー有利に進めていくことを心がけた。だが、5回裏に集中打を浴びて一挙7失点。失点はこの5回のみに抑えたが、勝敗を分けた判断を悔しそうに振り返った。

「スタンドのみんなに申し訳なくて…」

 堀が何より気に掛けてきたのは、ベンチにはいなかったチームメイトのことだ。報徳学園野球部は、2、3年生だけで97名もの部員が在籍する。さらに入部希望者を全員受け入れる基本方針のため、今年の春も40名前後の新入部員が入ってくる。

 だが、「部員の多さが自慢」と堀が語るように、大所帯だからこそチームの結束は固い。大会中もスタンドからの大声援は後押しになった。ベンチ入りメンバー、ボールボーイを除く約80名の部員が大きな声を張り上げ、男子校らしい野太い声を聖地に響き渡らせる。

 特にすっかり甲子園名物として定着した“アゲアゲホイホイ”のサウンドは、この春も球場全体を席巻し、話題を呼んだ。攻撃のイニングが始まると、まず「そーれ、行け行け!」という掛け声から応援がスタート。声援が球場内にこだますると、まるでその試合を支配したかのような雰囲気に。声出し応援が4年ぶりに解禁となったことで、報徳学園の一体感を何度も感じることができた。

「みんなにすごく応援してもらって、応援は本当に力になりました。だから(3回戦以降、5日間で4試合というハード日程にも)疲れはありませんでした。でも、最後に負けてしまって、あれだけ大きな声援を送ってくれたスタンドのみんなに申し訳なくて……」

【次ページ】 「このチームは堀の涙からスタートした」

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