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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「ソシエダへの興味」は久保建英加入前から…J2徳島・強化本部長が明かす“業務提携の真相”とスペイン路線、選手獲得サイクルの狙い
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE,Masashi Hara/Getty Images
posted2023/04/05 11:20
背番号8をつけた柿谷曜一朗に岩尾憲……徳島ヴォルティスがクラブ強化で考えていることとは?
「僕がアカデミーダイレクターを研修させてもらう段取りをつけて。それで9月に大谷に研修に行ってもらった。そこで彼が我々のクラブのことや考えをスペイン語でしっかりと説明してくれたんだと思います。それを機に、向こうの雰囲気が変わりましたから」
10月にはレアル・ソシエダのインターナショナルフットボールダイレクターやメソドロジーダイレクターが来日し、交流を深めていく。そして12月、提携に漕ぎ着けたばかりか、ベニャート・ラバイン新監督をレアル・ソシエダから迎えることになったのだった。
ソシエダとの育成業務提携内容は、大きく3つ
レアル・ソシエダとの育成業務提携の内容は、大きく以下の3つである。
・若手選手の育成プログラムの強化
・指導者の能力向上
・事業全般における国際交流および経営、運営面の情報交換
「トップチームのプレーモデルから紐づけてメソドロジーを構築し、アカデミーの選手を育てていきたい。そのメソッド作りのヒントを得られれば、と思っています。アカデミーの選手たちが向こうに行って、“ラ・レアル”の選手としてトーナメントに出場するという話もあるんです。いいと思う選手がいたら、レンタル移籍させてもらって、将来買い取ってもらうこともあるかもしれない」
指導者も留学や定例ミーティングを通してコーチングスキルを向上させ、ノウハウを学んでいく予定だが、交流はフットボールにとどまらない。
「3月頭には“ラ・レアル”の事業スタッフの方々にも来ていただいたんです。ギプスコア県サン・セバスチャンという地方でどうやって、あれだけの人気クラブになったのか。我々も“徳島にしかできないこと”にこだわりながら、地域に必要とされるクラブになりたいので、ディスカッションしながら互いに高め合っていきたいと思っています」
選手が抜けても戦力を維持できるようにしていく
アカデミーからトップに昇格する選手をコンスタントに輩出していくことを目指しているが、“育成成長型クラブ”としての評価はここ数年で定着している。
17年のリカルド・ロドリゲス監督招聘以降、攻撃的なスタイルを打ち出して20年に2度目のJ1昇格に成功したが、その間に大﨑礼央(現・ヴィッセル神戸)、山﨑凌吾(現・京都サンガF.C.)、渡大生、馬渡和彰(現・浦和レッズ)、広瀬陸斗(現・鹿島アントラーズ)……と、育てあげた若い選手をJ1クラブに送り出してきた。