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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「ソシエダへの興味」は久保建英加入前から…J2徳島・強化本部長が明かす“業務提携の真相”とスペイン路線、選手獲得サイクルの狙い
posted2023/04/05 11:20
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
J.LEAGUE,Masashi Hara/Getty Images
PK戦の末にアルゼンチンがフランスを下し、リオネル・メッシがW杯を掲げた翌日となる2022年12月19日、徳島ヴォルティスが“ラ・レアル”ことスペインのレアル・ソシエダと育成業務提携を締結したことが発表された。
“ラ・レアル”と言えば、22年7月に久保建英が加入したことで日本での知名度が増しているが、徳島の岡田明彦強化本部長がこのクラブを訪れたのは、それ以前のことだった。
「去年(22年)の5月ですね。ただ、“ラ・レアル”への関心はそれ以前からありました」
「ラ・レアルが面白い」という話を耳にした
岡田は17年にスペイン人指揮官、リカルド・ロドリゲスを招聘し、21年には同じくスペイン人のダニエル・ポヤトスに後任を託している。スペインには何度も足を運び、クラブ運営のアイデアやヒントを得るために、ドルトムント(ドイツ)やアヤックス(オランダ)、アンデルレヒトやヘンク(ともにベルギー)なども視察した。
「いろんなところを回りながら、どのクラブの育成が面白いのか、どのクラブが参考にできるのか探していたら、『ラ・レアルが面白い』という話をすごく耳にしたんですよ。それで、『知り合いはいない?』って繋げてもらって」
レアル・ソシエダはスペインリーグで上位争いを繰り広げ、3季連続してヨーロッパリーグに参戦。チャンピオンズリーグ出場も狙える強豪クラブである。
レアル・マドリーやバルセロナのようなビッグクラブではなく、いわゆる地方クラブ。クラブが拠点を置くバスク州ギプスコア県の人口は約70万人で、徳島の人口とほぼ同じだ。
欧州屈指の育成型クラブとしても知られ、21-22シーズンに欧州5大リーグで最もアカデミー出身の選手を起用したクラブが、レアル・ソシエダだった。
ソシエダとの提携でキーパーソンになったのは?
こうしたデータを示しながら、岡田が熱っぽく説明する。
「都市の規模やクラブ規模、アカデミーの考え方やメソッドの体系、人を大事にするところなど、うちとすごくリンクしているなと。実際に訪れてみても、フィーリングがすごく合ったというか。それで、ぜひ提携したいと」
とはいえ、提携を申し出る海外クラブはたくさんあるはずで、レアル・ソシエダも最初から岡田のアプローチに対して積極的だったわけではない。
「また暇な人が来たな、という感じだったと思います(苦笑)」
そこで大きかったのは、スペイン語が堪能な大谷武文アカデミーダイレクターの存在である。