- #1
- #2
Jをめぐる冒険BACK NUMBER
「ソシエダへの興味」は久保建英加入前から…J2徳島・強化本部長が明かす“業務提携の真相”とスペイン路線、選手獲得サイクルの狙い
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byJ.LEAGUE,Masashi Hara/Getty Images
posted2023/04/05 11:20
背番号8をつけた柿谷曜一朗に岩尾憲……徳島ヴォルティスがクラブ強化で考えていることとは?
「重要な戦力を残せないわけで、契約担当者としてはポンコツなんですけど(苦笑)。うちから羽ばたいてくれるのは嬉しいですよ。徳島に行けば成長できるということを証明してくれているわけなので。プロサッカー選手でいられる時間は限られているので、少しでも大きなクラブに行って、自分を披露してもらいたい。選手が抜けても戦力を維持できるようにしていくのが僕の仕事。そういう仕組み作り、環境作りも“ラ・レアル”から学びたい部分です」
羽ばたくという点で言えば、昨夏、岡田にとって嬉しい出来事があった。静岡学園高から18年に加入した渡井理己がポルトガルのボアヴィスタに期限付き移籍したのだ。
「理己は加入したときから将来の海外でのプレーを意識していて。昇格争いをしていたときやJ1に昇格したとき、複数のJ1クラブからオファーが届いたんですけど、それを蹴ってまで『徳島から世界に行きたい』と言ってくれて。戦力面では苦しくなりますけど、そうやってうちから世界に羽ばたく選手を増やしていきたいですよね」
「どっちが強化責任者か」というほどの岩尾の働き
さらにもうひとり、徳島から巣立った選手として、岩尾憲を挙げないわけにはいかない。
16年に水戸ホーリーホックから加入し、リカルド・ロドリゲス監督のスタイルの最高の理解者としてピッチ内外でチームをまとめ、22年に33歳にして浦和レッズへと移籍した。
「集団や組織の作り方を選手ながらにすごく考えてくれて。どっちが強化責任者か分からないくらい(苦笑)。2年目からはキャプテンとして、理想と現実の両方を見ながらチームに働きかけてくれた。悔しい思いもたくさんして、自分の力のなさを痛感したときもあったと思うんですけど、そこで逃げないのが憲。言語化しながら、全体を巻き込む力があって、徳島を応援してくださっている方々に対する発信力は素晴らしかった。クラブの成長にすごく貢献してくれて、クラブを一緒に作ってくれたな、と思います」
「また徳島でやりたい」という選手が増えた
クラブが作り上げたのは選手を送り出すサイクルだけではない。「また徳島でやりたい」と戻ってきてくれた選手もいる。
12年にガンバ大阪へと旅立ち、15年に復帰した佐藤晃大はその後8年間、徳島でプレーしたのちに昨シーズン限りで現役を引退。2月19日の開幕戦で引退セレモニーが行われた。
18年に巣立った渡もJ1の3クラブで経験を積み、今季6年ぶりに復帰した。
「このクラブのために戦いたいとか、このクラブに戻ってきたい、このクラブで引退したいと思ってもらえるようなものをしっかり作りたい。そこを大事にしていきながら勝てたら、オシャレじゃないですか(笑)」
そして、元日本代表の柿谷曜一朗が今オフ、実に13年ぶりに徳島に帰ってきた。