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《WBC日米成績比較》大谷翔平の“兄貴”トラウトにアレナド、「恐怖の9番ショート」超強烈打線も…エース級がいない先発に「速攻」を

posted2023/03/21 19:02

 
《WBC日米成績比較》大谷翔平の“兄貴”トラウトにアレナド、「恐怖の9番ショート」超強烈打線も…エース級がいない先発に「速攻」を<Number Web> photograph by Naoya Sanuki,Getty Images

さあ日米決戦。大谷翔平やトラウトら両国の誇る野球人の力をすべてぶつけ合う名勝負を期待したい

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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Naoya Sanuki,Getty Images

 日本の職業野球は1936年に始まったが、このときから「日米決戦」を最終目標としてきた。87年後の今年、日本のプロ野球が夢見た「決戦」に近い試合が行われようとしている。その歴史的意義をまず、かみしめたい。

 今回のWBCは、これまでの4回とは全く違う空気になった。野球の宗主国のアメリカの選手たちが、まるで日本の「甲子園」のように熱くなり、すさまじい集中力を発揮しているからだ。けが人も出ているし、NPBとMLBの開幕前に「燃え尽き症候群」にならないかとさえ思うが、世界の野球界が永年夢見てきた「本当のワールドシリーズ」の姿が見えてきたのかもしれない。

 そしてその空気は海を渡ってやってきた日本チームにも伝播し、準決勝はすごい試合になった。

アメリカは決して楽々と勝ち上がってきたわけではない

 日米の戦績を見ていこう。

《アメリカ》
〈一次ラウンド PoolC〉
●イギリス2-6アメリカ〇
〇メキシコ11-5アメリカ●
●カナダ1-12アメリカ〇
〇アメリカ3-2コロンビア●
〈準々決勝〉
〇アメリカ9-7ベネズエラ●
〈準決勝〉
●キューバ2-14アメリカ〇

 アメリカは当初、チームとしてのまとまりに欠けていた。PoolC第2戦のメキシコ戦では先発のパドレスのニック・マルティネスが立ち上がりから失点し、大敗した。カナダには大勝したものの、コロンビア戦は1点差の辛勝。あっぷあっぷの状態で2位で勝ち抜けた。

 準々決勝のベネズエラ戦も7回までリードを許してきたが、8回表、9番フィリーズのトレイ・ターナーが劇的なグランドスラムを打って逆転勝利。この試合で、アメリカの結束は一気に高まった。

 翌日の準決勝でもキューバに先制を許したが、アメリカはすぐに逆転。ターナーがこの日も2本塁打し、大勝した。

先発陣:エース級はいない、“速攻”で叩けるか

 個人成績を見ると、今大会のアメリカの戦い方が見えてくる。

【投手陣】
〈先発〉
L.リン2試1勝0敗0S0H9回1球8振 率3.00
A.ウェインライト2試2勝0敗0S0H8回2球5振 率2.25
N.マルティネス1試0勝1敗0S0H2.2回1球2振 率10.13
M.ケリー1試0勝0敗0S0H3回2球1振 率6.00

 ドジャースのクレイトン・カーショウが出場を辞退したため、エース級の先発投手はいない。アダム・ウェインライトが2戦2勝、ランス・リンも2戦1勝し、防御率も良いがこの2人は準々決勝、準決勝で投げている。ダイヤモンドバックスの34歳右腕、メリル・ケリーが先発か。13勝している一線級ではあるが、コロンビア戦で失点している。いずれも先発恃みではないと言えよう。

【次ページ】 リリーフが万全だと初見での攻略は難しいだけに

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マイク・トラウト
大谷翔平
今永昇太
トレイ・ターナー
メリル・ケリー
ジェイソン・アダム
デビッド・べドナー
デビン・ウィリアムス
アダム・オッタビーノ
アーロン・ループ
吉田正尚
村上宗隆
ラーズ・ヌートバー
近藤健介
山田哲人

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