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藤井聡太“A級1期で名人挑戦”以外も激闘! 順位戦の明暗「渡辺明名人と“ヤケ食い焼肉”の佐々木勇気・新八段らがA級へ」「千駄ヶ谷の受け師は…」

posted2023/03/18 11:00

 
藤井聡太“A級1期で名人挑戦”以外も激闘! 順位戦の明暗「渡辺明名人と“ヤケ食い焼肉”の佐々木勇気・新八段らがA級へ」「千駄ヶ谷の受け師は…」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

藤井聡太五冠が名人戦挑戦者となったA級プレーオフ。順位戦は各クラスで壮絶な戦いが続いた

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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 今期の順位戦は2023年3月の最終戦をもって、全クラスの対局が終了した。A級の名人戦挑戦者争い、B級1組からC級2組までの昇級争いでは、激しい戦いが繰り広げられた。昇級した棋士がいる一方で、昇級を逃した棋士や降級した棋士がいて、順位戦ならではの明暗が分かれた。挑戦者や昇級者たちの戦いぶりやエピソード、2022年度に晴れて棋士になった6人の新四段を、田丸昇九段が紹介する。【棋士の肩書は当時】

「名人戦の舞台に立てたことを、当時の自分に…」

【A級】

 7勝2敗の同成績となった広瀬章人八段(36)と藤井聡太五冠(20=竜王・王位・叡王・王将・棋聖)でプレーオフが行われ、藤井五冠が勝って名人戦の挑戦者に初めてなった。4月から始まる名人戦七番勝負で、渡辺明名人(38=棋王と合わせて二冠)と対戦する。

 藤井五冠は記者会見で、6歳のバースデーカードに《大きくなったら名人になりたい》と書いたことを問われると、「名人戦の舞台に立てたことを、当時の自分に教えてあげたい」と苦笑しながら語った。

 1勝8敗の糸谷哲郎八段(34)、佐藤康光九段(53)は、B級1組へともに降級した。佐藤九段のA級在籍は通算26期(名人在位2期を含む)。2009年度にもA級から降級したが、翌期に復帰した。2023年度はまたA級に戻れるだろうか……。

佐々木勇気、中村太地が晴れてA級昇級

【B級1組】

 9勝3敗の佐々木勇気・新八段(28)、中村太地・新八段(34)は、A級へともに昇級した。

 佐々木七段は順位戦の出だしで2連敗したが、5連勝して立ち直った。8戦目に中村七段に頓死を喫して敗れた後、親交があるマラソン仲間の渡辺名人に「ヤケ食い」しようと言われ、焼き肉店に連れていってもらったという。それが良い切り替えになったのか、以降は4連勝してA級へ昇級した。

 2017年7月、佐々木五段は竜王戦で藤井四段に勝ち、藤井がデビュー以来29連勝していた記録を止めた。その勝利と端正な容貌が注目され、芸能界からムック本やDVDの企画が持ち込まれたが、将棋に専念するために辞退したという。

 中村七段は勝てばA級に昇級する最終戦で羽生善治九段(52)に敗れたが、8勝3敗で3番手だった澤田真吾七段(31)も敗れたので、前期に続いて昇級した。中村の師匠は米長邦雄永世棋聖。12歳で入門したときに「君はB級1組まではいける。A級は頑張り次第だ」と言われた。その言葉を思い出しながら、今期の順位戦を戦ったという。没後10年となる泉下の師匠は、大いに喜んでいるだろう。

 4勝8敗の久保利明九段(47)、丸山忠久九段(52)、2勝10敗の郷田真隆九段(52)は、B級2組へともに降級した。3人はいずれもタイトル経験者だった。

【次ページ】 “藤井キラー”、“千駄ヶ谷の受け師”もB級1組に昇級

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