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WBCイタリアの現地リアル人気…「地上波放送なし」「ピアザはとんでもないペテン師」なぜ8強なのに“嫌われた監督”状態なのか 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2023/03/16 17:00

WBCイタリアの現地リアル人気…「地上波放送なし」「ピアザはとんでもないペテン師」なぜ8強なのに“嫌われた監督”状態なのか<Number Web> photograph by Kyodo News

前日練習でダルビッシュ有と話すピアザ監督。なぜ現地イタリアで“嫌われた監督”になってしまったのか

 メジャーリーガーだった現役時代に年俸だけで総額1億2000万ドルを稼いだとされる同監督は、かねてからイタリア・スポーツ界に投資したいという考えを表明していたが、代表コーチだった2016年に北部イタリアにあるサッカークラブ、レッジャーナを買収しオーナー会長になった。

 1919年創設のレッジャーナは当時3部に低迷していたものの名手を多く輩出した古豪として国内では広く知られた存在だ。地元ファンはMLB史上屈指の強打者ピアザの名を知らずとも積極投資を約束した富豪オーナーに名門復活を託した。しかし、ピアザはろくに経営に関わらず2年でレッジャーナを放り出し、クラブはあわや消滅の危機に陥った。そのため、人口17万人の地元の町ではピアザの名は「門外漢の無責任」の代名詞になっている。

WBCの地上波放送がない中でYouTube配信は…

 どう見積もっても野球の競技人口はイタリアで5万人にも満たず、WBCの地上波放送はない。3月12日、イタリアがオランダを下して劇的なプールA突破を決めた動画は、連盟のYouTubeチャンネルで配信され1日で1万4000ビューがついた。同じタイミングで出されたサッカーのセリエA「ナポリ×アタランタ」のハイライト動画は80万8000ビューだった。

 専用スタジアムがある都市は限られる。人気も認知度もなければ、自治体によるインフラ整備は到底望めない。

 マイナー競技が“自分たちの代表”を国民レベルで意識してもらうのは至難の業だ。前回大会、1次ラウンドで敗退したとき、イタリア球界では代表の再強化と国内リーグ活性化、競技人口増加のために「国内試合数を増やし、若手を積極起用しよう」と改革が声高に叫ばれた。

イタリアのレジェンド指揮官が語った問題点とは

 07年から17年まで代表監督を務めたイタリア球界のレジェンド、マルコ・マッツィエリも声を上げた一人だった。2010年と12年の欧州選手権を連覇した名将に取材したとき、WBC時代の辺境国代表やイタリア球界が抱える問題点について語ってくれた。

「私が現役だった頃、(北米やアジアの列強が参加する)世界大会はイタリアにとってあくまで選手一人ひとりが個々の思い出を作る場でしかなかった。しかし、ここ20年で時代は変わった。WBCや五輪はきちんとチーム全体が統制され、細かな情報を共有できるレベルでないとまともに戦えません」

「イタリアの選手の技術はここ15年間で急激に成長しました。足りないのはとにかく実戦経験です。アメリカと日本の高校生が年間100試合やるのに、イタリアの同年代は25試合しかできない。だが、それは選手たちの責任というより、仕組みや体制作りに手を付けようとしないクラブ経営者やリーグ機構、連盟の責任です」

 イタリア連盟とリーグ機構は完全プロ化を目指し、2010年代にメジャーリーグ式のフランチャイズ構想を進めたが、見通しが甘く失敗に終わった。拠点都市ごとの経済規模に差がありすぎ、組織同士のタテの連係も育たなかったためだ。

【次ページ】 “イタリアの皮をかぶったアメリカBチーム”である

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