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「年俸5億8000万円超(出来高満額)で鎌田大地に残留提示」と報じられたが…ブンデス給与体系に見る“利益化するルールの数々”とは

posted2023/03/12 17:00

 
「年俸5億8000万円超(出来高満額)で鎌田大地に残留提示」と報じられたが…ブンデス給与体系に見る“利益化するルールの数々”とは<Number Web> photograph by Itaru Chiba

ブンデスリーガ屈指のプレーメーカーの評価を得ている鎌田大地。彼の去就から着想し、ドイツの給与体系を掘り下げる

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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Itaru Chiba

 日本代表MF鎌田大地の去就が、ドイツメディアを中心に注目されている。待遇アップが報じられる鎌田を通して見る、ブンデスリーガ最新の給与体系とは。フランクフルトとドルトムントの制度設計を知っていこう。(全2回の1回目/後編につづく)

 移籍市場のニュースを扱うのはいつも難しい。飛び交う噂は、きちんとした取材に基づいて生まれたものなのか、どこかの誰かが、ある移籍を成立させるために(あるいは“させない”ために)流したものなのか、判断できないからだ。

 連日のようにヨーロッパで話題に挙がる鎌田大地の去就についてのニュースにしても、そこから確定的な判断を下すのは時期尚早だ。ドルトムントが鎌田を獲得したいと考えているのはほぼ確実だが、行き先が決まったわけではない。

 ただ、鎌田が今年の移籍市場における最注目選手の一人であるからこそ、見えてきたものがある。鎌田の動向を伝えるためにヨーロッパの様々なメディアが取材合戦を繰り広げて、各クラブの移籍市場での戦略や選手編成の方針などが明らかになったのだ。

 ドイツでは、フランクフルトの選手編成の新方針や、ドルトムントが作り上げつつある選手の年俸と給料についての新システムが話題になっている。前編となる本稿では、そうした報道を元にフランクフルトのドイツ最先端の選手編成ポリシーを紹介していく。

現GMが整備したフランクフルト給与体系とは

 前提として、フランクフルトの置かれている立場を整理しよう。2015-16シーズンに降格の危機にあえいでいたのは、昔のこと。コバチ監督のもとで2018年にDFBポカールで優勝して以降、競技面での成績も、クラブの経営も成長を遂げている。昨シーズンは初めてEL王者に輝き、今シーズンはCLにも初参戦。彼らの当面の目標は、CLを含めたヨーロッパカップ戦の常連としての立場を確立することだ。

 そんな目標に見合うシステムを作り上げようとしているのが、クレシェGMである。

 クレシェは、レバークーゼンでシュミット監督のアシスタントコーチをおよそ1シーズン半務めた後、選手時代の古巣であるパーダーボルンで背広組に転身。GMとしてクラブ史上2度目のブンデスリーガ1部昇格を後押し。その手腕を買われ、ライプツィヒのSD(スポーツディレクター)として2019-20シーズンから2シーズンを過ごした後に、権限のさらに大きいGMとしてフランクフルトに招かれた。そして、コロナ後の難しい舵取りを強いられる2021年6月1日から改革を進めてきた。

 まず、彼が整備したフランクフルトの選手たちの給与体系システムについて紹介しよう。

 クラブは選手の年俸を3つの階層に分けて、管理している。給料のピラミッドの1番上から順に以下の3つのレイヤーがある。

【次ページ】 鎌田に対してゲッツェ以上の契約を用意したとも

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