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核心にシュートを!BACK NUMBER
「年俸5億8000万円超(出来高満額)で鎌田大地に残留提示」と報じられたが…ブンデス給与体系に見る“利益化するルールの数々”とは
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byItaru Chiba
posted2023/03/12 17:00
ブンデスリーガ屈指のプレーメーカーの評価を得ている鎌田大地。彼の去就から着想し、ドイツの給与体系を掘り下げる
2については、リーグのライバルであるドルトムントが成功したモデルに近いものと理解すればよい。ドルトムントの代表例がデンベレ、サンチョ、そして今シーズン終了後の移籍が確実視されるベリンガムだ。移籍市場の権威となっているドイツのサイト「Transfermarkt」を参考に、ドルトムントでの彼らの足跡を振り返っていこう。
デンベレ、サンチョ、ベリンガムに見るドルトムントの仕組み
<デンベレ>
2016年(19歳):市場価値は1200万ユーロだったが、3500万ユーロを支払って「獲得」
2017年(20歳):1億4000万ユーロで「売却」
<サンチョ>
2017年(17歳):市場価値は500万ユーロだったが、2059万ユーロを支払って「獲得」
2021年(21歳):8500万ユーロで「売却」
<ベリンガム>
2020年(17歳):市場価値は1100万ユーロだったが、2500万ユーロを支払って「獲得」
2023年3月現在(19歳):市場価値は1億1000万ユーロ
デンベレやサンチョを獲得した際には、市場価値よりも高い金額を支払っていたため、リスクを危ぶむ声はあった。ただ、ブンデスリーガでもトップクラスのスカウトの質と量(*コロナ前のU-16からU-20世代の試合会場の総視察数は月に最低200試合以上で、オンラインを含めると膨大な量になる)を兼ね備えるスカウト陣の判断が、クラブに大きなリターンをもたらした。
ベリンガムはブンデスリーガ、イングランド代表、2003年生まれの選手、いずれのカテゴリーでも現時点でトップとなる1億1000万ユーロの市場価値があると見なされているが、実際にはそれよりも高額の移籍金をドルトムントにもたらす可能性も十分にある。
なお、驚異的なまでの価値の上昇でクラブに大きな利益をもたらした彼らの契約が連鎖していることを最後に付け加えておく。
根拠のない勇気に裏付けられた投資をすることはない
デンベレの移籍が決まるタイミングでサンチョを獲得しているし、サンチョが翌年には高額で移籍するのがほぼ確実となったタイミングでベリンガムを獲得している。まとまった収入が見込まれるときに、彼らは思いきった投資をする。逆にいえば、これだけの成功モデルがあったとしても、根拠のない勇気に裏付けられた投資をすることはない。
話を戻すと、フランクフルトもまた、ドルトムントモデルを参考にしているのはほぼ確実だ。