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WBC選手採点“5/10点”に「Numberおかしいわ!」…糸井嘉男が明かす“日本の4番がバント”の本音「当然じゃないですか?」
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田口元義Genki Taguchi
photograph byNaoya Sanuki
posted2023/03/08 11:00
![WBC選手採点“5/10点”に「Numberおかしいわ!」…糸井嘉男が明かす“日本の4番がバント”の本音「当然じゃないですか?」<Number Web> photograph by Naoya Sanuki](https://number.ismcdn.jp/mwimgs/1/8/700/img_18703534c448b6731132ef2278eb5c61209913.jpg)
2013年WBCに出場した糸井嘉男が明かす舞台裏
1点を追う5回。ノーアウト一塁の場面で2球目にバントの体勢から空振りをしたが、ヒッティングにサインが切り替わった3球目に、低めの変化球を強引に引っ張ってセカンドゴロとし、1アウト二塁を作った。
ミスをミスで終わらせない。それが、この大会で「コマ」に徹した糸井だった。
「『空回りしてもええんや』と思ってましたからね、ははは。経験できないことができてるだけですごいことなんでね」
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とはいえ、つくづく思う。チームの方針とはいえ、なぜ、12年に日本ハムで一度もバントを記録していない糸井にバントの指示が出たのか?
小誌の寸評でも、<バントが成功しなかった分、もっと打ってほしかった>といった理由で5点という厳しい評価をつけたように、どうしても疑念が残る。
なにより、本人はそれで満足だったのか?
声色は穏やか。ただ、糸井は真顔だった。
「だって、負けたら終わりですよ。1点がホンマに大事やし、誰でもバントする可能性があるって思うのは当然じゃないですか?」
3連覇を懸けた13年。日本はプエルトリコに敗れ、糸井のWBCも終わった。
全7試合出場。打率こそ2割8分6厘ながら、出塁率はチーム2位。7打点、2盗塁、9四死球はチームトップ。大黒柱の阿部が古傷の痛みと相手からの徹底したマークによって本来のパフォーマンスを出せないなか、主に主軸だった糸井は役割を全うしたと言えるではないか。
「Numberおかしいわ、これ!」
再び採点が掲載されたページに目を落とす。
「やっぱ、ようやったんちゃうん? 俺。Numberおかしいわ、これ!」
わざと意地の悪い笑顔を向けた糸井は、WBC後の13年シーズンで打率3割、それまでで自己最多の17ホームランを記録するなどオリックスでも地位を確立した。均整の取れた肉体と脅威の身体能力。常識外れのパフォーマンスによって、17年の阪神移籍後は「超人」の愛称がすっかり定着するようになった。
今となっては「素晴らしい経験だった」とWBCを胸に刻む糸井に、最後、恐縮ながら「言わせてしまう」ような質問を投げてみた。
――あのWBCは、超人へのステップアップとなりましたか?
「うん。そうですね、はい」
“ベンプレ”仲間の相川と出会い、海外の猛者たちと対峙した2013年のWBCは、糸井にとっての「超人前夜」だった。
<つづく>
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