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「スタメンから外せば日本は勝てる」の批判→覚醒…岩村明憲が明かすWBC韓国戦“あのイチロー決勝打”の伏線「全てが報われました」
posted2023/03/07 17:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Number Web
「WBC代表選手の告白」第2回 岩村明憲/2009年大会:優勝
これまで4回開催されてきたWBC。メジャーリーガーが多く参加し「史上最高レベル」ともいわれる今大会を前に、過去の代表戦士たちにインタビュー。第2回大会の1次ラウンド、波に乗り切れないイチローとともに「外せば日本は勝てる」の声も挙がって……なぜ優勝できたのか? 岩村明憲(福島レッドホープス監督)が舞台裏を明かす。(全2回の#1/#2へ)
これまで4回開催されてきたWBC。メジャーリーガーが多く参加し「史上最高レベル」ともいわれる今大会を前に、過去の代表戦士たちにインタビュー。第2回大会の1次ラウンド、波に乗り切れないイチローとともに「外せば日本は勝てる」の声も挙がって……なぜ優勝できたのか? 岩村明憲(福島レッドホープス監督)が舞台裏を明かす。(全2回の#1/#2へ)
◆◆◆
お茶の間に火がつく。
開幕当初は空席が目立つなど、まだ世間的に関心が薄かった第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を一躍有名にしたのが、「世紀の大誤審」だった。
2次ラウンド初戦のアメリカ戦。同点の8回にタッチアップでホームインした三塁ランナー・西岡剛の離塁が早いと球審にジャッジされ、得点が取り消されたプレーで、引き金となったレフトフライを打ちあげたのが岩村明憲だった。
勝ち越しの打点を取り消され、チームが敗れた記憶も、今となっては懐かしい。
「あの大会は僕らも『どうなるんだろう?』って探り、探りやっていたなかあの大誤審があって、お茶の間にWBCが広まったというかね。だから、結果的によかったのかなって」
06年はWBC中にケガをして…
オープニングゲームの中国戦からサードで全試合出場し、打率3割台をキープするなどバットが振れていたなか迎えた、2次ラウンド3戦目の韓国戦。その岩村が突如消えた。
0-0の2回、2アウト二塁と先制のチャンスで里崎智也がライト前ヒットを放ち、二塁ランナーの岩村がトップスピードで三塁ベースを蹴った時だった。
あ! やった……。
すぐ異変に気付いた。岩村はこの走塁で右太ももを肉離れしたのである。ベンチに退いた時、事実上、彼のWBCは終わった。