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WBC選手採点“5/10点”に「Numberおかしいわ!」…糸井嘉男が明かす“日本の4番がバント”の本音「当然じゃないですか?」
posted2023/03/08 11:00
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph by
Naoya Sanuki
これまで4回開催されてきたWBC。メジャーリーガーが多く参加し「史上最高レベル」ともいわれる今大会を前に、過去の代表選手たちにインタビュー。第3回大会で「4番」も務めた糸井嘉男(阪神Special Ambassador)がその舞台裏を明かした。(全2回の#1/#2へ)
思わず叫んだ。
「え!? 俺、5点!」
2013年の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で全試合に出場した、糸井嘉男のリアクションである。
大会直後の小誌に掲載された出場選手の採点で、糸井は10点満点中5点だったのだ。
「井端(弘和)さん9点、内川(聖一)8点。俺、5点……そこそこ活躍したでしょ!」
井端はチームトップの打率5割5分6厘で、指名打者のベストナイン。内川も2位の3割4分8厘と、前年にパ・リーグ最多安打の実力を顕示した。確かにふたりと比べると、2割8分6厘だった糸井は見劣りするかもしれない。しかし、5割の出塁率は井端に次ぐ2番目の高さ(20以上打席に立った選手内)であり、いわばこの数字がWBCでの彼の存在感に深みをもたらす。
プロ入団時は投手「近くて遠かったWBC」
3連覇を懸けた舞台。糸井にとって初出場となるWBCは、個人成績など二の次だった。
「ホンマにね、いざ本番になったらみんなが『格下や』思うてる相手でも僅差だったり、絶対なんてなかったですから。僕らはもう、勝ちたい一心でプレーしてただけやったから、いかに山本(浩二)監督のコマでいられるか。そこしか考えてなかったですね」
2004年の入団当時はピッチャーだった糸井にとって、WBCは近くて遠い存在だった。
06年の第1回は小笠原道大、09年の第2回は稲葉篤紀とダルビッシュ有と、日本ハムのチームメートが日本代表として戦う様を、ただただ羨む。そんな自分がいた。
「他のメンバー見ても、見渡す限りエグかったじゃないですか。イチローさん、城島(健司)さん、岩村(明憲)さん……。そのチームが連覇したのは日本人として誇りやったし、すごいなって見てました。『ああいうところで試合したいな』とは思いましたけど、あの時はまだ野手になったばっかりだったんで、現実的には考えられなかったですけどね」
そのWBCを現実的な目標として捉えられたのが、チームでレギュラーの座を不動のものとしていた12年だ。