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A級取得・中村憲剛に聞く指導者ライセンス講習の“本当の価値”…本田圭佑の問題提起で議論も「トレーニングの質が明らかに変わっていく」

posted2023/02/10 17:00

 
A級取得・中村憲剛に聞く指導者ライセンス講習の“本当の価値”…本田圭佑の問題提起で議論も「トレーニングの質が明らかに変わっていく」<Number Web> photograph by SportsPressJP/AFLO

2022年6月、U-16日本代表にロールモデルコーチとして帯同し、若い選手たちを指導する中村憲剛氏。今年度のS級ライセンス受講者にも名を連ねている

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中村憲剛+戸塚啓

中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka

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 古くて新しいテーマが、本田圭佑の問題提起をきっかけに議論されている。日本サッカー協会(JFA)の指導者ライセンス制度の是非についてだ。

 取得に時間がかかるので、現役引退後すぐにJリーグの監督になることができない。サッカーとの関連が薄い講義があるのでは。そもそも本当に必要なのか──といった指摘もある。

 ただ、そのカリキュラム自体はほとんど知られていないのが実状だ。実際にライセンス講習会を受講している当事者は、どう感じているのか。

 本田とともに2010年の南アフリカW杯に出場した、元日本代表MFの中村憲剛氏が、Number Webで指導者ライセンスをめぐる疑問に答えてくれた。(全2回の1回目/後編へ)

◆◆◆

“未来の監督”たちはライセンス講習でなにを学ぶのか?

 中村氏はC級、B級、A級をすでに取得し、今年4月からS級コーチ養成講習会を受講する。国内最高位のS級ライセンスを取得すれば、Jリーグのクラブで監督を務めることが可能になる。

「2022年度のA級の講習会で、僕のコースは5泊6日の講習が5月、9月、11月と3回ありました。内容は指導実践と講義で、講義の一例をあげると、コミュニケーションスキル、チームマネジメント、フィジカルコンディショニング、栄養学、スポーツの社会科学、メディカル、スポーツ心理学など多岐にわたります。東京五輪のテクニカルスタディグループによる技術・戦術トレンドの講義もあり、僕らのコースにはU-21(現U-22)日本代表の大岩剛監督が来てくださいました。また、僕ら受講生がパワーポイントでテーマに沿った資料を作って、プレゼンをすることもあります」

 Jリーグで18シーズンもの長きにわたってプレーし、日本代表としてもW杯やコンフェデレーションズカップ、アジアカップなどに出場した中村氏は、現役時代に様々な経験をしてきた。ケガで長期の戦線離脱を強いられたこともあった。サッカーに関する知識は戦術や技術にとどまらないが、それでもライセンス講習で得るものはあると言う。

「長く現役生活をしてきた自分からすると、これは聞いたことがあるな、何となく知っているかな、という講義も正直あります。ただ、このライセンス制度は、プロとしての経験がない方でも、さまざまなカテゴリーで指導ができるようにするためのものでもあります。原理原則、ベーシックな知識を得る意味では、どの講義も必要なものだと感じました。初めて知る言葉や項目もあり、それはとても新鮮でした。自分なりに知識がある項目については、ある意味答え合わせをしている感覚でしたね。『そうだ、こういうふうにやっていたよなあ』と思い出すこともあり、確認と学び直しの機会として、どの講義も非常に有意義でした」

【次ページ】 中村憲剛が「ものすごく刺激になる」と語る理由

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