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日本ではナーゲルスマンのような指導者は生まれにくい? 中村憲剛が語る“指導者ライセンス制度の課題”とは「人材のリソース全体を…」

posted2023/02/10 17:01

 
日本ではナーゲルスマンのような指導者は生まれにくい? 中村憲剛が語る“指導者ライセンス制度の課題”とは「人材のリソース全体を…」<Number Web> photograph by Getty Images

2016年、28歳でブンデス1部・ホッフェンハイムの監督に就任したユリアン・ナーゲルスマン。現在はバイエルン・ミュンヘンの監督を務めている

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中村憲剛+戸塚啓

中村憲剛+戸塚啓Kengo Nakamura + Kei Totsuka

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「監督になるために、JFAの指導者ライセンスは本当に必要なのか?」――本田圭佑の提言をきっかけに、こんなテーマが識者やサッカーファンの間でさかんに議論されている。昨年A級ライセンスを取得した中村憲剛氏は、Number Webの取材に対して、実体験をベースに講習の意義と必要性を強調した。

 インタビュー後編では、「取得に時間がかかる」「内容が画一的では?」といった制度上の課題について、自身の見解を率直に語ってもらった。(全2回の2回目/前編へ)

◆◆◆

現行の制度では若い指導者が登場しにくい

 日本のライセンス制度では、現役を引退した選手がすぐにJリーグの監督になることはできない。現役でプレーしている選手は、B級ライセンスまでしか取ることができないからだ。

 かつてB級保持者がA級ライセンス講習会を受講するには、1年以上の指導実績が必要だった。しかし現在は、B級講習会で優秀な成績を収め、なおかつ国際Aマッチ20試合以上の出場経験を持っていれば、B級取得の翌年にA級を受講できるようになっている。ライセンス取得のスピードアップについては、日本サッカー協会(JFA)も改善を進めているのだ。

 とはいえ、国内最高位のS級ライセンス取得は、やはりハードルが高い。S級の受講人数は毎年20人ほどだが、A級は150人ほどの受講者がいる。A級受講者がもれなく有資格者になると、枠の空きがなく、数年待ってようやくS級の受講に辿り着くケースもある。

 元日本代表MFの中村憲剛氏は、23年度にS級を受講する。同期となるメンバーには明神智和氏(45歳)、北嶋秀朗氏(44歳)、大黒将志氏(42歳)らの元日本代表が含まれており、最年少は内田篤人氏(34歳)と田中遼太郎氏(33歳)だ。田中氏は3月に34歳になる。

 30代の受講者は、彼らを含めて4人だ。20代はひとりもいない。28歳でドイツ・ブンデスリーガ1部の監督になったユリアン・ナーゲルスマン(現バイエルン・ミュンヘン監督)のような指導者は、現行のライセンス制度では登場しにくい。

 中村氏が言う。

「プロサッカー選手としての経験を大事にするという観点に立てばの話ですが、現役中にA級まで取ることができれば、現役選手たちの指導者への関心はより高まり、引退後のキャリア形成にも影響すると思います。ただ、S級の受講は毎年約20人なので、A級まで早く進むことが早期取得につながるかというと、必ずしもそうではないのでは、とも思います。たとえば、S級の受講人数を増やそうとしたら、インストラクター(注:今後はチューターに呼称変更)の方たちだけでなく指導実践の生徒役の学生など、人材のリソース全体を増やす必要があります。受講生を教えるインストラクターの方たちの人数を増やすのも、スピードアップのポイントになるのでは」

【次ページ】 「講習を通じた知見の共有、指導者全体の底上げが必要」

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