熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
鎌田大地42億円、冨安健洋35億円だけどエムバペ252億円、ビニシウス168億円!“市場価格差の根本”を育成システムから考える
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2023/01/14 11:02
カタールW杯スペイン戦のスターティングメンバー。鎌田大地や久保建英ら“市場価値10億円オーバー”の選手は増えてきたが……。
香川真司を18歳で抜擢したクルピの重い言葉
3)年齢ではなく実力で選手を起用する。
2007年5月にセレッソ大阪(当時J2)の監督に就任するや否や、18歳になったばかりで控えのボランチだった香川をMFのレギュラーに抜擢したレヴィー・クルピは、「フットボールに年齢は関係ない。若くて経験がなくても、実力があれば躊躇せず起用する」と語る。
「私が『シンジを先発で使うぞ』と言ったら、日本人コーチは全員が大反対。『無謀だ』と言うんだ。日本人は、若い選手を使うのが怖いらしい。でも、我々ブラジル人はペレが16歳でデビューし、17歳でW杯に出て優勝したのを知っているからね」
さらに、「シンジは、その1年前にセレッソへ入ったときから高い能力を持っていたはず。本当はもっと早くデビューしていてしかるべきだった」とまで語る。もし香川がもう1年早くデビューしていたら――さらに偉大な選手になっていて、日本のフットボールの歴史が変わっていたかもしれない。
ブラジルでは、16歳や17歳でデビューし、経験を積んで急成長する選手がいる。日本の指導者も、若い選手を積極的に起用するよう心掛けるべきではないだろうか。
4)目先の試合に勝つことだけを目的とせず、できるだけ多くの選手を試合でプレーさせる。
選手は試合に出場してこそ成長する、というのはあらゆるスポーツの常識だ。
5)指導者や上級生からの体罰、パワハラ、暴言は論外。
これは説明するまでもないだろう。
#4では、日本の選手育成の主体である中学、高校の部活動、Jリーグのアカデミー、大学体育会の現状をブラジルからの視点で検証し、改善すべきところがあるかどうか考えてみたい。
<#4につづく>