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「無能と批判された指揮官が“新たな戦略”を」「戦術面の積み上げ不足が…」W杯ドイツ、スペイン撃破の舞台裏〈日本代表取材ライター対談〉
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byJFA/AFLO
posted2023/01/02 17:01
スペイン戦後、喜びをあらわにする日本代表イレブン
なぜコスタリカ戦は、うまくいかなかったのか
――ドイツ相手に最高のスタートを切った日本でしたが、コスタリカ戦では0-1で敗戦。初戦との落差もあって、ファンとしてはフラストレーションのたまる内容でした。
飯尾 ドイツ戦、後ほど話すスペイン戦も1点ビハインドになった時点で“いくしかない”状況になったので、ある意味でやりやすかったと思うんです。でもコスタリカ戦は日本にとって一番やりづらい展開でした。のらりくらりと試合を進めつつ最後に仕留めるというのは、南米勢は得意だけど、日本はすごく苦手。0-0で推移した中で逆に仕留められてしまった。そこは日本サッカーのまだまだ未熟なところだなと。
木崎 そうですね。あと、13時キックオフということもあって純粋に日差しが強く、ピッチ内に空調が効いているとはいえ暑かった。その中で想像以上にボールを握れない時間帯が続いたことが体力面で影響したかなと感じます。もう1つ、初出場の選手が多くて、彼らが緊張していたのもあるでしょうね。ただ世間では批判の的となっていますが、スタメンを大きく変更するローテーション自体について、僕は賛成派でした。
飯尾 パラグアイ、ブラジル、ガーナ、チュニジアと対戦した6月シリーズで毎試合のようにメンバーを変えて戦ったじゃないですか。森保監督はその頃からローテーションや試合中の攻撃陣の総取っ替えをイメージしていたそうです。でもコンディション的に思った以上にいけそうだから鎌田と遠藤航など数人は2試合続けて先発起用した。
2戦目でメンバーを大きく代えた方がいいのか、1、2戦目は固定して勝点6を確保して、3戦目で代える方がいいのか……。ただクロアチアやスペインを見ていると、4試合ほぼ同じメンバーが出ている。中3日なら究極、主力組の調子は落ちないのでは? という見立ても1つだと思います。
ローテーション制は日本のお家芸になり得るのでは
木崎 ベスト4に入ったモロッコもそうでしたよね。
飯尾 ただ固定しすぎると準々決勝から準決勝くらいでガタが来たり、スタメンとサブ組の経験値・実力差が開くというデメリットがある。それも含めて“正解は今も分からない”と森保監督は言っていました。
木崎 スタメン固定となると2006年ドイツ大会のように、チームの一体感が生まれなくなってしまう懸念がありますからね。個人的にローテーション制は日本らしい取り組みだから続けてほしいですし、日本ならではのお家芸になり得るのでは、と。
飯尾 あとコスタリカ戦で言うと、3バックの採用も含めて6月シリーズからもっとしっかりテストしていたら、初出場の選手たちももう少し余裕を持って試合に入れたかもしれない。
木崎 本田圭佑もABEMA解説で言っていたんですけど、遠藤がフリーになっているのに横パスばかりになっていましたよね。その他にも守田英正と遠藤のポジションを入れ替えたりするなど、色々なやりようがあったと思うけど、別のプランを用意していなかった。ドイツ戦は奇策で勝ったけど、2戦目は積み上げがなかった弱点が出たのでは、と思います。