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「本田さん、解説続けてください」“引退試合”で賛否…露骨な“アルゼンチン推し”もホンダ解説はなぜ清々しいのか?〈語録で再検証〉
text by
岡野誠Makoto Okano
photograph byNaoki Morita/AFLO SPORT
posted2022/12/20 11:27
アルゼンチン贔屓の姿勢を打ち出した本田の解説に対し、ネット上で賛否両論が巻き起こった。では本田は単にアルゼンチンを応援していただけだったのか?
<語録8>
「選手だけじゃなく、監督、それを支えるスタッフ、協会の人間、Jリーグを運営する人、そしてファンの皆さん。全員が個々のレベルを上げていく必要があります」(試合終了後)
試合終了後、スタジオの矢部浩之に「今後も機会あったら解説とかされるんですか?」と聞かれ、本田は「いや、しないですね~」と否定した。続けて、日本サッカーがW杯ベスト8に進むために必要なことを問われ、上記のように答えていた。
今大会、W杯全64試合を中継したインターネットテレビ局『ABEMA』は日本戦を放送するたびに過去最多の視聴者数を更新し、決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦では2400万にまで達した。アルゼンチン対フランスの決勝でも2000万を超えたという。この数字は、本田の解説に魅せられた日本人がいかに多かったかを実証しているし、事実、SNS上でも「本田さん、解説を続けてください」という声が多くあがっている。
本田解説とウエストランドの“共通点”
そこで、最後に改めて考えてみたい。なぜ、本田の解説は視聴者を惹きつけたのか。それは、奇しくも“ある人物の言葉”に集約されていた。
<超番外編>
「窮屈な時代なんですけど、キャラクターとテクニックさえあれば、こんな毒舌漫才もまだまだ受け入れられる」(『M-1グランプリ』審査員の松本人志)
W杯決勝の直前に行われた『M-1』で優勝したウエストランドに松本人志が送った言葉である。SNSの発達により、近年はバラエティもスポーツ中継もあらゆる方面への配慮を必要とされ、陳腐になりがちだった。
今求められているのは、摩擦を恐れずに立ち向かう人間だ。
とはいえ、単に思ったことを口にしたり、他人の弱点を指摘したりするだけでは世間に受け入れられない。“キャラクター”と“テクニック”が必要なのである。
本田の解説には膨大な需要がある。“ファンを含めた全員のレベルアップ”が重要と考えた場合、試合中にチームの良い点、悪い点、改善点を素早く的確に説明できる唯一無二の解説者は必要不可欠である。日本サッカーのためにも、もう一度放送席に座る姿を見たい。“解説者・ケイスケホンダの引退試合”はまだ早すぎる。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。